ちいチャン物語

きまぐれブログ。
絵のない絵本のような、小さい物語です。

ちいチャン物語『土間の薪』(14)

2019年08月10日 19時37分05秒 | 日記
ちいチャンの家の台所の土間には、ちいチャンの背丈よりも高く、薪(まき)が
積んであります。
これは、お風呂を焚(た)く時の為の薪です。
ちいチャンの家のお風呂は、家の外にあって、お風呂の外にはお風呂を沸かす焚
き口がありました。
地面より少し低くなっていて、下に向かって階段が2つ付いています。
おばあちゃんは、夕方になると毎日そのたき口にしゃがんで、お風呂を沸かしま
す。
たき口の扉は鉄で出来ていて、側には、熱くなった扉を開ける為の鉄の棒が置い
てありました。
おばあちゃんは、たき口の扉を開けて、新聞紙をクシャクシャっと丸めて入れ、
お弁当箱みたいに大きいマッチ箱から、マッチを取り出して、シュッ!と擦(す)
ります。
マッチは、シュウウウと音を出して、小さく燃えます。
その火を新聞紙に移し、火が付いた所で薪を入れます。
ちいチャンは、火の燃える様子が面白くて、おばあちゃんがお風呂を沸かすのを
いつも見ていました。
「ちいチャンも、やりたい!」
ちいチャンは、おばあちゃんに言いました。
すると、おばあちゃんは、
「小さい子が火をいじると、おねしょをするよ。」
と、言いました。
ちいチャンは、もう、おねしょはしない年になっていたので、
(おねしょをしたら恥ずかしい。)
と、思いました。
だから、やっぱり見ているだけにする事にしました。
お風呂を沸かしたたき口の下は、翌朝になると灰がたくさん溜まっています。
おばあちゃんは、灰をスコップのような物で取り出すと、水をかけます。
火は消えていますが、用心に用心です。
そして、その灰は、植木の肥料になるようでした。
コメント
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