ちいチャン物語

きまぐれブログ。
絵のない絵本のような、小さい物語です。

ちいチャン物語(5)『海辺のベット』

2019年08月01日 20時05分39秒 | 日記
ちいチャンの海辺の町には、道路にそって防波堤があります。
防波堤には、10メートルおき位に階段があって、そこから砂浜に降りられます。
階段は、5段ぐらいでしょうか。
防波堤を降りると、半分ほど砂に埋もれた大きな石がたくさんあります。
そして、そこから海まで白い砂浜が続いています。
昼間は、波は少し離れたところにあって、砂浜が広いのです。
その防波堤の下の大きな石の中に、ちいチャンが気に入っている石があります。
それは、長方形の長い石で、表面がつるつるとしています。
ちいチャンがゴロンと寝ころぶのに、ちょうどいい大きさをしていました。
ちいチャンは、その石の上に仰向けに寝てみました。
目を閉じると、ザザザザザザ~ン、と波の音が聞こえます。
目を開けると、目に見える全部が青い空!
(うふっ、ベットに寝てるみたい。)
ちいチャンは、
(ベットが欲しいな~。)
と思っていたので、とっても幸せな気分になりました。
ぽっかぽっかのお日様と静かな波の音。
ちいチャンは、うとうととうたた寝をしてしまいます。
ちいチャンの海辺の特等席です。
そんなちいチャンの楽しみが、数日続いたある日の事です。
いつものように、防波堤を降りると、ベットの石がなくなっていました。
ちいチャンは、毎日海をながめているので、砂浜や石の場所が違ったりするのは知ってい
ました。
けれど、ちいチャンが寝られる程の大きな石は、ずっとそこにある、と信じていました。
(波が持って行っちゃったのか。)
防波堤の階段に腰かけて、ちいチャンは海を見つめます。
(重そうな石だったのに。)
あきらめきれずに、ちいチャンは、ずうっとずうっと、海を見つめていました。
コメント
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