ちいチャン物語

きまぐれブログ。
絵のない絵本のような、小さい物語です。

ちいチャン物語(7)『自転車』

2019年08月03日 19時23分29秒 | 日記
ある日、ちいチャンの町に自転車やさんが出来ました。
それは、物置みたいな建物で、中には自転車がたくさん並んでいました。
その建物の中で、おじさんはネジをいじったり、ドライバーを回したりしています。
道行く人には、笑顔で、
「こんにちは!」
と、挨拶をします。
ちいチャンの町の子供たちは、自転車を持っていません。
自転車が珍しく、おじさんが何か機械をいじっているのを見るのも珍しく、自転車やさんの前には、いつも
大勢の子供たちが集まっていました。
自転車やさんのおじさんは、とても気さくな人で、子供たちと気軽に話をします。
その内、子供のひとりが自転車を買ってもらいました。
補助車を付けて、海辺の道路で練習をしています。
練習をしている子のまわりには、いつもたくさんの子供たちがいました。
気が付くと、子供たちみんなが自転車持ちになっていました。
道路は、補助車を付けて練習をする子供たちでいっぱいです。
ちいチャンも、みんなよりは少し遅れて自転車を買ってもらいました。
補助車が取れて、ピュンピュン走る友達がかっこよく見えました。
ちいチャンは、早く補助車を取りたくて、朝から日が暮れるまで、毎日練習をしています。
毎日、毎日、練習をしています。
そうしたらお尻が痛くなって、自転車に座れなくなってしまいました。
ちいチャンのおしりは、真っ赤になって腫れていました。
ちいチャンは、お風呂の熱いお湯がしみるので、湯船に入れません。
おばあちゃんは、たらいにお湯を張り、白い粉のような物をいれてかき混ぜ、
「はい、ここに入りなさいょ。」
と、言いました。
たらいの白いお湯は、つるんつるんとしていて、入ってもしみません。
(魔法の粉だぁ。)
翌日、おばあちゃんは、自転車用にひもの付いた座布団を作ってくれました。
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