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☆田中啓介牧師による礼拝メッセージをお届けしています。

愛の物差し Ⅰテモテ4:6-10

2009年03月29日 | Celebration
 愛の冷えたこの時代、あちこちに衝突がある。物理的であれ心理的であれ、衝突の原因は、それぞれが持っている物差しにある。人は誰しも心に物差しを持っている。自分の視線、自分の距離感覚、自分の価値観から成る自分の物差しだ。自分では唯一と思っているその物差しが他人や社会のそれとは違っていること、自分の持つ物差しは、実は自分だけにしか有効でないこと、ここに気づかないで突っ走ると、相手と衝突してしまう。ついで言えば、自分で絶対と思っているその物差しには二種類の目盛りがあり、しばしば自分には甘い尺度で、他人には厳しい尺度でと無意識に使い分けるという、衝撃の事実がある。

 計っているその瞬間はともかく、後で冷静になって考えると、社会の物差しは自分の尺度とは違うと気付くことがある。そうして社会的生物である人間は、ふと我に返って社会の物差しに一生懸命自分を合わせて生きようとしてみる。しかし、社会の物差しは、国、時代、民族、風潮、習慣、権力の移ろいに応じて変化するものだ。数年前の基準が既に廃れていること、文化圏という場所によって適合不可になること、真理と思われていたものが一時の風潮に過ぎななかったことなど、特にこの現代社会では、急激なスピードで変化し続るのを容易に見ることができる。だから社会の物差しを自分の価値基準とすると、状況によって価値観がフラフラする人間、安定を欠く人生という最悪な結果になってしまう。

 では私たちは、たった一度しかない人生の照準を何に持っていればよいのか。信念として据えるべき確固たる基準は何か。取り分け子育てを考える時、親は子供のアイデンティティを確立させる責任がある。あれこれしたい、と言う子供に対し、個人的感覚ではなく、確かな基準に基づいたYES/NOを教えていくことが大切だ。国や時代を超えた普遍の価値観、それは聖書にある。

この言葉は真実であり、そのまま受け入れるに値します。(Ⅰテモテ4:9)

 聖書は信じるに値するものだ。聖書では天地創造から語られている。イエス様がいらっしゃった時代だけを取り上げても、今から二千年前のこと。聖書以外に、二千年も読み継がれている書物はない。日本にあったと推定される邪馬台国は、イエス様より300年も後のことであり、その存在を確かに示すのは魏志倭人伝のごく一部以外には残っておらず、必ずしもその状況を正確に伝えているとは限らないとされている。しかし、それよりも以前のことであるイエス・キリストについて、聖書は実にリアルに、多角的に述べている。それは、聖書が真実であるからに他ならない。

 更に、聖書は実に多くの人々の生を変えてきた。イエス・キリストを体験することは、本人にとっては確固たる事実であるのだが、それは他人にとって状況証拠の域を出ない。しかし、その体験は疑いようのない真実であり、明らかな新生によって変えられた人生が多くの実を結んでいく。その結果が第三者の人生に作用し、新たなキリスト体験を生まれさせるのである。マザー・テレサ然り、イレーナ・センドラー然り、三浦綾子然り。聖書の言葉には、人生を180度変える力が秘められている。

 聖書のテーマとは何か?それは「愛」である。仏教を始め多くの宗教では、煩悩として扱われ、捨て去るべきもののように言われる「愛」は、本当にに人間にとって無用のものなのか?? 例えば、墜落しつつある飛行機の中、残り数分間という自分の人生の最期に、人は何を想うだろう。仕事の引継ぎ?読み終えなかった本の結末?いや、人は自分の最後の最後に脳裏に浮かぶのは、『愛したという記憶と、愛されたという実感』その愛の体験以外にはない。それが神様が創られた人間の本当の姿なのである。

 愛したいのに愛せない、愛されたいの愛してもらえない、人々はそんな満たされない思いの中で生きている。それは、罪によって神様との関係を自ら絶ってしまった人間の現実だ。だからこそ、聖書は「愛」を語る。愛の不在による悲劇を終わらせるため、イエス・キリストが十字架の上で、神様と私たちとの関係を回復させてくださったのである。この十字架の愛を受け取ることによって、私たちは「愛の物差し」という普遍の価値観を持つことが出来る。自分の物差しや、社会の物差しだけで生きているのは空しいことだ。時代にも流行にも権力にも、どんな時でも決して変わることのない「愛の物差し」を持って、新しい人生を生きて行こう!(睦美)

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