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母ちゃん~母の日に

2012年05月08日 23時28分16秒 | Weblog

「母ちゃん」
と言っては 
後ろの母親を
すぐ振り返る男の子がいた

私が 何か尋ねると
自信なさそうに そのたびに
「母ちゃん」と言って 
助け船を求めるのだ

今時 母親を「母ちゃん」と呼ぶ
珍しい男の子もいるもんだと思った
彼は 奇しくも私と同郷だった

私らが 子どもの頃は
ほとんどの子が
「母ちゃん」「父ちゃん」と呼んでいた

そんなある日
母親が 私ら兄弟を呼んで
神妙な顔をして
「あのね 今日から 私らを
「お父さん」「お母さん」と呼ぶんだよ」
と言い伝えた

私らは その時
何で急に そんな…
と いぶかり戸惑ったが
親の言うことなので従うことにした

当初は
「お母さん」「お父さん」と呼ぶのが
何だか気恥ずかしく
なかなか声に出せなかった

しばらくして 慣れると
「父ちゃん」や「母ちゃん」が 
田舎くさいような気がして
新しい呼び方に 違和感がなくなって来た

「母ちゃん」
と よく言っていた男の子は
二度の手術を受け
身体が快復し 元気に退院していった

彼が 再度の入院になった時
はたから見ていても
ひどく気落ちしていて かわいそうだった

でも 同学年の男の子が
手紙などで励ましてくれたので
二回目の手術も 無事に乗り越え
私たちも安堵した

その励ましてくれた男の子も
かなり厳しい状況だったけど
自分の退院を隠してまで
励ましの手紙をそっと言付けたのだ
私らは その気遣いにしんみりとなった

やがて 母の日

「母ちゃん」と呼んでたSくんは
今でも 何かあると
「母ちゃん」と呼んでいるだろうか

Sくんを 陰で支えた男の子は
今頃母親と どんな会話をしているだろうか

訳あって なかなか帰郷できない私は
八十歳を過ぎた母親に
どんなことができるのだろうか

コメント
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