少年の日の夏

校門を出れば　
陽は既に真上にあり
野球帽のつばより
真夏の日射しが差し込む

空見上ぐれば　何処までも
青　蒼　碧　あお…で
教室より解き放たれ
明日より自由の身になる喜びに
ぼくは　足取り軽（かろ）く
野道を　我が家に向かう

ああ　これから
何が　どんなことが
このぼくを待っているだろう！

川遊び　魚釣り　蝉採り
スイカ　メロン　ブドウ
夕立　雷鳴　水風呂　
かき氷　アイス　ラムネ
七夕　お盆　里帰り

テレビ　マンガ　本読み

ああ　したいことはいっぱいあって
待ってる時間もいっぱいあって

でも　いつも　いっつも
夏休みの終わりには

家族総出で西瓜畑を焼きながら
あと成りの小さな西瓜や
ピョンピョン逃げ回る
バッタやコオロギたちを
ぼんやりと眺めては　
ああ　もう夏もおしまいかと
ぼくたちは　ため息を吐く

そして　過ぎゆく夏のページを
パタンと閉じる