フィクション『同族会社を辞め、一から出直しオババが生き延びる方法』

同族会社の情けから脱出し、我が信ずる道を歩む決心をしたオババ。情報の洪水をうまく泳ぎ抜く方法を雑多な人々から教えを乞う。

舞台の前の落ち込みさ

2018-12-26 20:38:38 | 美しく生きるという事

オババのように、毎日舞台に立っていますと、夕方ハネたときにはぐったり疲れているわけですね。

ああー、今日の仕事もつらかったーとつい口ずさんでしまうほど、ぐったりですね。

いやしかし、稽古をたっぷりしているせいか、なんとか台詞も言え、アドリブもそこそこ飛び出したりして、

あ、あたし調子いい~なんて自画自賛したりしてね。

 

オババは家に帰っても一人なので、鍵は自分で開けます。

真っ暗な家に犬一匹。オババが帰ると犬が少し吠えます。

ああ、さみしい。もう、こんな生活いやだ。

誰か誰か、いつもそばにいて…。

一人で起きて一人で食事して一人で鍵を締めて、一人で帰ってきて一人で食事して、一人で寝て。

ああ、明日の舞台、ドタキャンしたいな。

おなかが痛いんです。休んでいいですか?

 

そうはいっても、オババは舞台が大好き。

せっかく主役をやらせてもらっているんだもの、立たないわけにはいかない。

小道具持って毎日重い荷物をしょっていくのよ、最寄り駅まで歩いたらそれだけでぐったり。

毎日毎日、舞台は続くよ、どこまでも。

野を越え山越え谷越えて。遥かな町まで行くのかなぁ。

毎日毎日、オババはいつまでこの舞台を続けなければいけないの?

明日、劇場に行ったら、劇場がなくなっていて、オババは舞台に立つことができませんでした。

すなわち、それはオババの死。

オババは地面に崩れ落ちました。

そして砂がアリ地獄のようになりオババをのみこんで行きました。

 

…てなことを考えますが、まずそんなことは起こりえませんね!

コメント (1)
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