フィクション『同族会社を辞め、一から出直しオババが生き延びる方法』

同族会社の情けから脱出し、我が信ずる道を歩む決心をしたオババ。情報の洪水をうまく泳ぎ抜く方法を雑多な人々から教えを乞う。

姉と弟

2024-04-22 09:46:18 | 美しく生きるという事

とあるところに、姉と弟がいる。

姉は5歳。弟は1歳8ヶ月。

弟は歩行も安定し、最近は言葉も出てきた。

仕草がとても可愛く、両親や祖父母達も目尻を下げて話しかけたり抱っこしたりする。

それを陰からじっと見ている姉。

それに気づいた祖母が『あなたも可愛かったよ』と声を掛けると、

『今は?(可愛くないの?)』と答えた。

はっとした。

これだ。

正直、5歳になってしまった姉は年齢なりの体つきとなり、大人と会話できるだけの語彙力も持ち、

1歳8ヶ月の子と比べたら『同じように可愛い』とは言えない。

しかし、5歳の姉は弟と同じように可愛いと言って欲しいのだ。

かつて可愛かったと言うのではなく、今可愛いと言って欲しいのだ。

 

だから私は、うちの子ども達が末弟にすさまじく焼き餅を焼いていた理由が解せた。

私達親の対応が生ぬるかったのである。

兄弟間で何かあるたびに『あんた達も十分可愛がってあげたんだよ』と収めてきたつもりだったが、

等の兄二人はそんな事で収まっていなかったのだろう。

いま、自分たちも可愛がって欲しい。さもなくば、弟を可愛がるのを止めて欲しい。

…それは無理だ。1歳8ヶ月は可愛さの絶頂期だ。兄二人の目を意識していたところで、表情や声のトーンに気持ちが表れてしまう。

そんなわけで、今はそれぞれ二人の子持ちとなった子ども達に、改めて、

子育ての難しさを味わっているかい?と想いを馳せるのだった。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする