高名な僧の「思い出の中の、遠い日の後朝[きぬぎぬ]の別れ」(小学版)を詠った作品。リメイクしている筆者も、タイピングしながら走馬灯が脳裏をよぎる。
ひらかなy094:おもいだす ありあけづきに ただよった
あのよこぐもの わかれのあさを
ひらかなs1193:ありあけは おもひいであれや よこぐもの
ただよはれつる しののめのそら
【略注】○有明=夜明け(の月を見ると)。
○ただよはれつる=漂っている。to be lying。有明の月と横雲が、見る見る離れ
ていくように、別れるのがつらい。
○しののめ=夜明け。暁。美しいやまとことばのひびきがある。漢字表記は「東
雲」。ドイツ語では Morgenrot(モルゲンロート)、反対語は Abendrot(アーベント
ロート)。山行などでもよく使う。英語では morning glow。やはり「しののめ」には
かなわない。
○西行=悠 006 (07月04日条)既出。
【補説】しののめ/東雲 ①一説に、「め」は原始的住居の明り取りの役目を果してい
た網代様(あじろよう)の粗い編み目のことで、篠竹を材料として作られた「め」が
「篠の目」と呼ばれた。これが、明り取りそのものの意になり、転じて夜明けの薄
明り、さらに夜明けそのものの意になったとする。
②東の空がわずかに明るくなる頃。あけがた。あかつき。あけぼの。
③明け方に、東の空にたなびく雲。
④曙色 明るい鮭色・夜明けの空の色。東雲色ともいう。
⑤曙色 明け方の空の色のような浅い黄赤色を言う。「東雲色(しののめいろ)」
とも言われる。
出典:①~③は「広辞苑」。④は和名色事典。
http://www.amcac.ac.jp/~suzuki/03irojiten/04irowamei/irowamei01a.html
⑤は日本伝統色名(日本染織工芸愛好会、既出)。
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