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サウジ女性、車の運転許可を求めて立ち上がる Women2Drive

2011-06-18 | 貧困・疾病・格差
2011/06/18

現代の欧米や日本では、実際はどうあれ法の前の男女平等は当然のこととされているが、それが実現されるまでの闘いは容易なものでなかったことは歴史が証明している。日本でも婦人参政権が確立するためには第二次世界大戦での敗戦を待たねばならなかったのだ。

今、世界にはいまだに、女性を男性の庇護なしには生きてはいけない存在とてみなし、独立した社会生活することを認めない社会が厳然と存在する。それはモスレムの宗教原理によって社会生活の規範が定められているアラブ社会、特にサウジ社会がそれである。

こうしたモスレム社会規範と民主主義の葛藤の実態は、2006年のノーベル文学賞を受賞したトルコ人作家、オルハン・パムクの小説「雪」に活写されている。政教分離が実施されてから80年経つトルコでもこのような状況であるが、祭政一致のアラブ社会において女性は男性の同伴無しに外出は許されないし、車の運転は禁止されている。

本日のCNNは、サウジで5月に禁を犯して運転して逮捕された女性が中心になって組織された"Women2Drive,"というネットを通した呼びかけで、当局の取り締まりを無視して、女性たちが敢えてハンドルを握って道路に繰り出したことを報じ、サウジの実態を次のように解説している:

Though there are no specific traffic laws that make it illegal for women to drive in Saudi Arabia. However, religious edicts are often interpreted as a prohibition of female drivers. Such edicts also prevent women from opening bank accounts, obtaining passports or even going to school without the presence of a male guardian.(女性の運転は道路交通法では禁止されていないが、宗教規律からそれは禁止事項とみなされている。女性は独自に銀行口座も持てないし、パスポートの取得もできない。男性の付き添いなしに学校に行くことも許されていない)

しかし、欧米留学経験のある女性が中心となって、Facebookを通して始めたこの"Women2Drive,"運動であるが、参加者には、「黒のイスラムの服装を着用すること、サウジの旗を振って王家に恭順の意を表すること、国際免許で運転すること、男性のエスコートを伴うこと」を順守するように呼びかけていること自体が、いかに抑圧の力が強いことを示している。