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ゴールドマン訴追、『準主役』Paulson猛反撃 A Wells Notice

2010-04-21 | グローバル企業
2010年4月21日(水) 

今回のSECによるゴールドマンサックスとその社員1名に対する詐欺容疑での訴追に関して、重大な役割を果たしたとされているが、訴追に値する問題行動(any wrongdoing)はおこなっていないとされている、John Paulson氏が率いるヘッジファンドが、投資解約期限を控えて発言を始めた。

ファンドへの投資家の中には、「問題行動があるならば」、「将来司直の手が入るならば」投資を引き上げるとするところが相次いでいるためである。

まず、投資家に対しては「現在政治的、法的な渦中(political and legal vortex)にいるが、必ずや無傷で(unscathed)で復帰する」と宣言した上で、今週月曜日に100を越す「ゴールドマン訴追以降資金を引き上げる可能性のある」顧客に電話会議を行い沈静化を図ったとThe Wall Street Journalが伝えている。

しかし、ポールソン氏の投資対象の株価は、「訴訟発表」以来軒並み下げている。またポールソン氏の投資対象に影響が出るとされている、カナダの投資ファンドPropel Multi-Strategy Fundの上場が延期されるという事態も出ている。

月曜日の夜の電話会議で、投資家の一人がポールソン氏に、「ファンドの誰かが、いわゆるWell’s Notice(SECの訴追対象への事前通告書)を受けとっているか」と質問したところ同氏は否定し、「本件はわれわれから投資家が逃げるようなものではない(distraction)。この騒動もそのうち鎮静化するはず」と回答したという。

投資家の間では、海外の規制機関も含めてさらに捜査が拡大することをに対する恐れが高まっている。そうした場合に備えて出資金を引き上げたいとの慎重姿勢をとろうとするのもうなずけるところである。

「電話を掛けてくる人の中にはまるで捜査官のような尋問口調の人もいる。しかし大体は、ファンドには協力的な態度で臨んでくれている。ポールソン氏に問題がなかったと確信している。出口に押し寄せるということではない」とのいくつかの内部のコメントが紹介されている。

ポールソン氏は火曜日に至って、投資家に対して書簡を送り、「2007年にはわれわれは、経験の深い住宅ローンへの投資家とはみなされていなかった。市場の優秀な投資家の大勢はわれわれに逆張りをしようというムードであった」と説明している。

投資家の方でも、「ポールソン氏の手法は、投資家が解約を図ってもそれが、ファンドの価格を押し下げに直結するようなものではなかった」と語っているという。

「ゴールドマンとの取引では、住宅ローンに関しては、空売りポジションを張ったが、こうした取引では買い持ちか、空売りかいずれかのポジションを持つのは当たり前。このファンドを買った投資家は格付け会社の各付けを鵜呑みにしたので、勉強不足であったということだ」と冷静に説明したという。

ポールソンのファンドの投資家が6月30日までに投資を引き上げるか否かの決定期限は金曜日に迫っている。同ファンドの償還請求期限は2ヶ月前と設定されていて、年4回決定の機会が与えられている。

ポールソン社と同じく2007年に住宅ローンベースのファンドを組成したMagnetar Capital LLCも投資家の動揺への対応に追われている。同ファンドには7000億円の投資金が投入されている。同ファンドの責任者は、「個々の投資家のカネが、どのCDOに投入されていたかは把握していない」と管理手法を説明している。

The Wall Street Journalは、「Magnet Capitalに対する捜査は続行されていて、それが顧客投資家にどう影響するかはまだわからない。同社の挙動については、2008年1月以来取り上げてきた。今週になって同ファンドは、『われわれの住宅ローンをベースにしたCDOの組成に当たっての判断は、統計モデルによる相場予想に立脚するものであって、住宅ローン市場が崩壊すると読んだわけではない』と説明している」という解説で記事を結んでいる。



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