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オバマ金融規制規制法案とゴールドマン 訴追  Dark Market

2010-04-22 | グローバル企業
2010年4月22日(水)

米国議会上院の金融改革を審議していたパネルが、金融システムが万一混乱しても(meltdown)米国経済への影響を最小限にすることを目指し、また今回の危機の際のように納税者の金で破綻金融金融機関を救済しなければならないという事態を回避することを意図する法案を承認した。

この法案は一般にはわかりにくく、また不正取引の温床とされているデリバティブ取引、それは 民主党議員の言葉を借りれば、「野放図で闇の市場(a currently unregulated, dark market)」ということになるが、それに対する規制をめざすものである。

上院の有力議員はこの法案を、すでに上院銀行委員会で承認されている金融規制強化法案と合体させて、上院可決に持ち込みたいとしている、とCNNが速報している。

金融機関の規制に情熱を傾けるオバマ大統領は、木曜日にNYに向かうことになっている。この法案の通過は、まさに共和党がオバマ大統領の規制強化策に反対するよすがとしてきた『厚い壁』に走った最初の亀裂であるとThe New York Timesが論評している。

上院共和党は、この動きを「民主党に譲歩させた」といっているし、民主党は「共和党はただただ、国民の反発を恐れて早々と、矛を収めた」といっている。

いずれにしてもこのところ米国政界を支配してきた二大政党間の対立激化は一応の軟着陸を見たともいえる。ただ、両党間でどのような裏での取引があったのかは公にされていないし、今後二つの法案がどのように一本化されるかは予断を許さない。

ただいえることは、先週金曜日に、本欄でも継続して取り上げたゴールドマン・サックスをSECが詐欺のかどで訴追したことが、この法案承認に大きく影響を与えたことは間違いがない。

そして今週発表になったゴールドマンとシティバンクが巨額の黒字決算を発表したことも無関係ではない。あれだけウォールストリートの代弁者といわれてきた共和党が、ガラッと態度を変えたのである。

このパネルが承認した法案には、金融システムへの脅威に対する「早期警戒警報」(early warning)と設置と、5兆円の民間資金を基にした破綻金融機関救済ファンドの設置が含まれている。もし金融機関が破綻した場合、たとえば今回の金融危機でAIGがデリバティブ取引で破綻を来たしたような例を防止するために為替レートのスワップ取引は、外為市場を介すること、第三者の担保があることを条件つけることになる。

オバマ大統領は、救済資金に民間金融機関に拠出を求めることは、政府の規制力をそぐものとして反対しているので、今後共和党との修正案作成に当たっては、このあたりが駆け引きの焦点になろうと、NYTは予測している。

ゴールドマンサックスの訴追は、ある意味で、オバマ大統領とSECの阿吽の呼吸によって行われたと見るのはあながち間違ってはいない。金融改革が叫びはじめられたのは、2007年の中半であるから、すでに3年が経過した。

そして英国では5月6日の総選挙を控えて、ゴールドマンたたきが激しい。ドイツでも、メルケル首相も強い姿勢で臨んでいる。日本は、もっと政権の存続にかかわる別の問題で忙しい。




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