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ゴールドマンCEO議会証言 Frankenstein Against His Inventor

2010-04-26 | グローバル企業
2010年4月26日(月)

今週火曜日にゴールドマン・サックスのCEO、Lloyd Blankfein氏が、関与した部下とともにSECが訴追している詐欺行為に関して、議会の小委員会で証言に立つ。

厳しい査問が待ち受けていることは間違いがないので、この査問を乗り切れるか否かがゴールドマンの将来を決めるといっても過言ではない。

ゴールドマンは、この議会委員会への召喚に先立ち、すでにSECが一部を公開したゴールドマン社員のメールの全容を、自ら公開した

その中に、SECから会社とともに訴追されて、第一のメールですでに有名になった31歳のトレーダーFabrice Tourr氏の第二の問題メールも含まれている。

第一のメールでは、「市場は崩壊している。生き残るのは自分だけだ」と、自らの優秀さを誇示していたのだが、今回の第二のメールは、同氏が、交際を求めていた女性に送ったものである。

「売りまくった証券は、フランケンシュタインみたいに、考えだした僕に立ち向かってきた。1ヶ月前に100ドルの値がついていたのに、いまや93ドルになった。投資の総額が数十億ドルになっているから、この差額は巨額に膨らんでいる」と、仕組んだ証券の暴落で巨利を得たことにわれながら驚きながら自慢しているのだ。

ゴールドマンは、複雑な仕組みの証券を、市場が上向きのときに売り出したのであるが、市場の流れが変わったところで、暴落を予想して空売りに全力を挙げた。仕組まれた証券の中身を知らされないままゴールドマンから証券を買った投資家は大損をしたことは言うまでもない。

ゴールドマンの幹部は、2007年のこの事態の際、大儲けに欣喜雀躍した言葉を書き連ねたメールを交換していたのである。こうしたメールをあえて公開に踏み切ったゴールドマンであるが、これによると2007年には、CEO自身も、「空売りで儲けたことを誇る」メールを出していることが判明した。

ゴールドマンのスポークスマンは、「e-mailの中身はお恥ずかしい限りであるが、わが銀行が不法行為を働いたという証拠ではない。2007年に1200億円も損失を出している」と強く自己弁護を行っている。

今週は、月曜日にSECが本件に関して記者会見を開いて、翌日の議会証言についての情報の開示を行うが、この月曜日には、オバマ大統領が推進する金融改革法案が、上院での投票に掛けられる。そのタイミング設定から考えると、今回のゴールドマンに対するSECへの訴追や、議会への召喚はこれに合わせた政治的なショーとの一面を否定できない。

ゴールドマンCEOの議会証言の行方が大いに注目される。




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