2024年4月から放送される予定のゆるキャンアニメ3期に大井川鐡道が登場することが確定し、公式サイトのイメージビジュアル第一弾に千頭駅井川線ホームのアプト式列車が出てきたことで、私の大井川鐡道井川線のNゲージ車輌の製作もピッチが上がってきた。どのメーカーからも商品されていなくて自作するしかなかったDD100形機関車を苦労して仕上げたことで、なにか峠を越して少し楽になってきたため、残る懸案であった上図のDB1形機関車の製作に取り組むことにした。
DB1形機関車、と書いたが上図のワールド工芸の商品は「KATO 8t」とある。その通り、正式には加藤製作所製8t産業用機関車と呼ばれる小型内燃機関車の一種である。大井川鐡道がこれを昭和11年(1936)以降にあわせて7輌導入し、井川線の前身である大井川電力専用線にて運用し、DB1からDB7までの車番をあてたことにより、DB1形機関車と呼ばれたわけである。
その後、昭和30年(1955)に専用鉄道が井川駅まで延長された際に、中部電力東上田発電所(岐阜県下呂市)の建設に使用されていた同型車輌が2輌加わり、DB8、DB9の車番を付けられた。このDB8、DB9が平成二十一年(2009)3月に本線運用を離脱して車籍抹消となったものの、いまも川根両国車両区にて入換動車として使用されている現存の2輌である。
最近にイベントがらみで現役時代の鮮やかなツートンカラーに復しており、ゆるキャン聖地のひとつ両国吊橋から川根両国車両区を見下ろした際に見かけた方も多いであろう。
私がゆるキャン聖地巡礼の途中で撮影した、こちらの記事の最初の画像でも、左端にツートンカラーのDB9が写っている。
今回のワールド工芸の組み立てキットは、御覧のように車体が2輌ぶん入っている。現存しているDB8、DB9の2輌を意識しているわけではあるまいが、井川線の車輌を可能な限りNゲージで再現して楽しもうと考えている私にとっては、有り難いことであった。現存しているDB8、DB9の2輌を再現出来るからである。
ただし、上図右端の袋入りの動力ユニットは1輌ぶんしかないので、もう1輌はトレーラー車として作ることになる。ところがこの動力ユニットを試運転してみたところ、動きが不安定でカクカクと揺れるし、時々止まってしまう不具合が判明した。
川本氏に相談したところ、すぐに駆けつけてくれ、分解メンテナンスも施してくれたが、不具合を完全に解消するには至らず、電圧の高いパワーユニットで操作してみても、カクカクと揺れる点だけは治らなかったのであった。
それで川本氏が言うには、とりあえずキットの説明書のままに組み立てて、1輌に動力ユニットを入れ、もう1輌はトレーラー車として仕上げておいて、動力ユニットの1輌は線路上に静止させておくしかないだろう、とのことであった。
井川線の客車の追加製作を予定しているなかで、1輌だけに動力ユニットを組み込む積りであったため、先に作ったDD100形機関車をそれに繋いで列車とするのと同じように、DB1形のトレーラー車のほうを動力ユニット客車と繋げば走らせることが出来る。それでいこう、と決まった。
上図は組み立てガイドである。御覧のとおりカラー印刷で大変に見やすく、パーツの説明もきちんとなされていて初心者の私にもよく分かる内容であった。
組み立てガイドの裏面である。表面が1ページ目、裏面が2ページ目ということだろう。
ランナーごとにパーツを事前チェックしていて、車体のパーツを観察する段階で、奇妙な違和感を覚えた。以前に作ったネコ・パブリッシングのトーマス列車のキットに含まれていたラスティーのDB1形機関車のパーツを取り出して比較してみたところ、上図のように車体の寸法が異なるのであった。
私はDB1形機関車の実車のほうも、ゆるキャン聖地巡礼中にて二度見かけている。その際に撮った写真画像もパソコン画面に出してみて比較を続けたが、寸法的には今回のワールド工芸の品のほうが近いと感じた。逆に言えばトーマス列車のキットに含まれていたラスティーのDB1形機関車のほうは幅が小さくて車長がやや長く、全体的に細身なのである。
とりあえず、組み立てに取り掛かった。2輌分のパーツをいっぺんに切り出して、同時並行で組み上げてゆくことにした。このキットは素材が一般的なプラスチックではなくてABS樹脂であるため、接着剤もABS樹脂専用のものが必要となる。上図のタミヤのABS樹脂用のセメントを使用した。
組み立て途中の状態である。パーツの成形色はオレンジとブラックなので、それぞれのパーツを入れ替えて組み合わせ状況が分かるようにしようと思い付き、上図のようにパーツを入れ替えた。
組み上がった状態である。パーツの組み合わせ状況がよく分かるし、5個のパーツだけで姿が仕上がることに感心した。連結器は、ガイドにおいては前後ともキットに入っているアーノルドカプラーを付ける指示があるが、前部のものは鉄道コレクションの余りパーツのダミータイプに交換した。
片方の1輌には、ガイドの指示通りに動力ユニットを組み入れた。動作が完全に治っていないので、こちらは井川線レイアウトにおいては側線か留置線に置いて使うことになるだろう、と考えた。
最後に排気管を取り付けて、組み立てを完了した。サイズや寸法的にはこちらが実車に近い。
なので、上図右の白色のトーマス列車のキットに含まれていたラスティーのDB1形機関車のほうは、車体がやや長く、細身に見える。
上から見ると、車幅がかなり違うことが分かる。別の車種ではないか、と思うぐらいにあちこちの寸法が異なるので、この右側の白色の車体は、私のNゲージ井川線においては別の使い方を考えて活用を試みることにした。 (続く)