FCC日記

子どもたちのクライミングスクールの活動記録と教育、スポーツ、そしてクライミングに関して想うこと。

キッズコンペ「神奈川カップ」2013 ④

2013-12-13 13:51:11 | コンペティション参加報告
決勝の競技が全て終わった。

完登者がほかに2名出て、涙にくれたユキちゃんは3位だった。
優勝したのはMちゃんという女の子。
無駄のないとてもきれいな動きで、気持ち的にも攻めの姿勢を崩さない、良い登りだった

毎回、Y先生が表彰式の準備をしている間に決勝ルートのリベンジ大会を行っている。
本当はトップロープの部の子どもたちにも登らせてあげたいのだけれど、大会の運営上それが出来ないのが残念だ。

今回も「決勝のルートをトライしたい人~」と声をかけると、トップロープの部で出たしんのすけが「ハーイ」といの一番に駈け寄って来た
でも、トップロープの部のルートはテープもはがされちゃって、もうリベンジ出来ないことを知ってがっかり
ごめんね~ でも、その「リベンジしたい登りたい」という意欲はとても素敵だよ
次回までに強くなって、リードの部の決勝に進出して、今度こそリベンジしてね

決勝ルートのリベンジには長い列が出来た

リベンジののんちゃんは下部の動きが安定して、決勝の時より大分先まで行けた

リベンジは上達する上で大事なのだ。
上手くなりたい人は1回のトライで諦めずに、是非しつこくトライしてもらいたい
それが動きの精度を高め、多彩なムーブの引き出しとなって行くのだから。


さて、準備も整い、最後の表彰式。
とても簡素な表彰式だったけれど、子どもたちは嬉しそうにもらった賞状を握りしめていた

 

今回の「キッズコンペ神奈川カップ」のリザルトはこちら

子どもたちが帰った後、決勝ルートのテープをはがしたり、使用したロープやヌンチャクを回収したり片付けたり、テントをたたんだり・・・ボランティアスタッフの3人は最後まで私たちの手伝いをしてくれた
朝早くから御苦労さま
今回はみんなの成長ぶりがはっきりと見て取れて、とても嬉しかった

そして大会に参加した子どもたち
みんな本当によく頑張ったと思う
嬉しい想いだけでなくて、悔しい想いや悲しい想いも経験することはとても大事なことなのです。
こうした心の動きがみんなの心を成長させるのだと思う
この刺激を普段の生活や練習に活かして行ってね


キッズコンペ「神奈川カップ」2013 ③

2013-12-11 13:51:42 | コンペティション参加報告
決勝のルートも出来、アイソレーションである食堂に行くと、和気あいあいとしたのんびりムードで決勝進出の子どもたちは「ポカ~ン」とテレビを見入っていた
このお茶の間のようなのんびりムード・・・ とても戦い直前の様子とは思えないけど、ここが子どもたちの良いところだね
真剣だけれど、争いの心がない

「そろそろオブザベーションだから、準備しておいてね~」と声をかけると急に「トイレ、トイレ~」と慌ただしくなった。

さて、オブザベーションタイム
制限時間(たいてい6分間)以内でルートの下見
みんな一応双眼鏡(上部のホールドなどはよく見えないので、双眼鏡の利用はOKとなっている)は持っている子が多かったが、一通り上まで見るとあとは「・・・
みんなボーっと立ったままでいるので、声をかける。
「本当にちゃんと見たの?スタートとかは地面から足が離れないところまでは触っても良いんだよ。見えないところは競技エリアの中なら見える所まで動いても良いんだし。分からないところがあったら、セッターに聞いても良いんですよ
あ、そーなのーと言う感じでいきなり動きだす子どもたち。
バタバタし出したらあっという間にオブザベーションタイムが終了となった

決勝ののんちゃん。
小さい体と気力を目いっぱい使って頑張った
が、傾斜帯に入る直前の、ちょっと遠いところで足が滑った感じでフォール
オンサイトのためか、前半からかなり力を使う登り方だったので、もう力も限界だったみたいだね。
オンサイト力を上げるのは難しい
心も、技も、体力も・・・全ての力をまんべんなく伸ばして行く必要があるからね


もう一人FCCで決勝に残ったユキちゃん。
最後の方の登場だが、まだ上まで行った子はいない。
ユキちゃんも元来は筋金入りの怖がりで、私もユキちゃんのママも彼女のルートの力を伸ばすのに苦慮して来たが、昨年あたりからルートにも意欲的に取り組むようになり、それに従い実力もアップして来た
大会でも決勝に残れるようにはなって来たものの、決勝になるとまだ踏ん張りが利かず、春の大会ではすぐに手が張って下の方で落ちてしまいがちだった。
今回のルートも、最大傾斜のルーフの渡りでちょっと遠いところが出て来る。
ぴょんと飛びついて足がきれてしまうような動きなのだが、ユキちゃんは苦手そうだなぁ・・・

飄々とルートに取りついたユキちゃん。
下部はかなり安定して楽そうにこなして行く。
さて、いよいよ例の遠いところ。。。かなり困った様子
何とかスタティックに行こうとして試行錯誤。
やっと覚悟を決めて飛びつき、案の定足がきれたが、耐えた
以前のユキちゃんなら、この後のルーフの抜け口の第2核心で落ちていただろう。
が、今回は粘りを見せた
かなり手が張っているようだが、手をシェイクしながら第2核心も越え、最後ゴール直前の核心へ
執念と言っても良い渾身の登りで見事ゴールを掴んだ
そして、クリップ・・・と同時に「時間です」のアナウンス・・・。
下りて来て、Y先生からタイムアップのため完登が認められなかったことを告げられて、ユキちゃんは声を上げて号泣した

岩場ならどれほど時間をかけても良いのだが、競技には時間制限(6~8分)がある。
決められた時間内に登りきらなくてはいけないのだ。

完登に至る登攀中の心の葛藤・・・それに打ち勝ってのゴール取り・・・こんなに達成感のある、嬉しいことはない。
しかし、今その努力が報いられなかったユキちゃんの気持ちを思うと、見ている私も一緒に泣きそうだ。。。

・・・と、ビレイ補助の手伝いをしてくれていたユイちゃんが、ユキちゃんのところに駈け寄り、手放しで泣いているユキちゃんのロープをほどき、抱えるようにしてユキちゃんをママのところに連れて行ってあげてくれた
いつも一緒にレッスンを受け、ユキちゃんから小生意気な口をたたかれているユイちゃんだが、この小さな妹分の心の痛みを黙って見ていられない様子だった。
後日、ユキちゃんママから、「号泣しているユキのところに駈け寄ってくれたユイちゃんを見て、FCCで良かった、と心から思いました」というメールを頂いた。

諦めずに最後まで頑張り通して、大会という場で渾身の良い登りを見せてくれたユキちゃん、そして心の成長を見せてくれたユイちゃん
私は、とても誇らしかったよ

 ↓決勝のユキちゃん


~つづく~

キッズコンペ「神奈川カップ」2013 ②

2013-12-10 13:37:59 | コンペティション参加報告
さて、リードの部。

リードを始めて間もないコージン、りょーた、タイゴの3人。
決勝には残れなかったけれどよく頑張ったと思うよ
何より、リードを始めたばかりなのに「リードの部」で出ようと思うチャレンジ精神が良い
今後この時の気持ちを忘れずに、大会でしっかり力を出せるように「練習の質」を大切に考えて、普段の練習を頑張って行ってくれると強くなるんだけどな~
ただ、リードで強くなるためには「登り込み」が必要だよ
小学校も高学年になって来たら、最低でも週に2回以上は集中した質の良い練習をするチャンスがほしいところだね

たけくんはボルダーだと実力が出せて良い登りが出来るのだけど、何せ怖がり
ルートも嫌いではないようだし、いつも前向きにチャレンジするのだが、いったん「怖い」と思ってしまうともう動けない
とても真面目で地道な努力をコツコツと重ねられるたけくんは、将来この「怖くて動けない病」を克服出来たら、良いアスリートになりそうなのだが。。。
怖がりな子がこれを克服するためには、もう少し大きくなるまで辛抱強く待たなければならないのかな~?
それまでに心が折れないように、しっかりサポートしなければ
今日もハングの付け根で急に動きがあやしくなり、動けなくなっちゃった
実力通りの登りが出来れば、決勝に残れたと思うんだけど…残念


予選が終わり、FCCの中で決勝に残れたのはユキちゃんとのんちゃんの2人だけとなった。
2人とも自分の力を出し切る登りが出来るといいな~

予選は「フラッシュ」形式で他の選手の登りを見たり、自分の登りの前にどれだけルートの下見をしても構わないのに比べ、決勝は「オンサイト」方式と呼ばれ、他の選手の登りを見ることは出来ない
「オブザベーション」と呼ばれるルートの下見も、「オブザベーションタイム」と言って制限時間内にみんな一斉に下見をする時間以外は許されない。
予選が終わると決勝のルートを作成するのだが、その時に決勝ルートがファイナリストに見られないように、決勝進出者は「アイソレーション」と呼ばれる別室に隔離される。


決勝に進んだ子どもたちがアイソレーション(今日は山スポの食堂)入りしたのを見計らって、決勝のルート作成
予選のテープをはがし、決勝用に作ったルートのホールドにテープを貼り替える。
今回はコーヘイが「ルート上部のテープを貼りたい」と張り切っていたので、任せることに。
人手があれば、トップロープ用のロープで誰かにビレイしてもらって作業出来るのだが、ネコの手も借りたい今回はみんな各自のするべき作業に追われてビレイヤーがいない。スリングで確保しながらの自己責任作業だが、昨日から見ているとコーヘイは安全に出来ている
一応変なことをしないように私は彼から目を離さず、ジャッジの方との打ち合わせをしたり、ルートをチェックしたり
安全に手早く動くことが出来、昨年より10倍近く手早く作業が出来ていたよ
コーヘイ大活躍の巻き、だった

決勝に進めなかったリードの部の子どもたちやトップロープの部の子どもたちも、広い芝生の会場で駆け回ったり、虫を探したり、ピクニック気分でお昼ご飯を食べたり、神奈川の岳連のおじさんたちが催してくれた竹ひごおもちゃ手作り体験をしたり。
思い思いに楽しんでいた




キッズコンペ「神奈川カップ」2013 ①

2013-12-07 19:21:03 | コンペティション参加報告
11月3日(日)
大会参加者:
リードの部⇒のんちゃん(小4)、たけくん(小4)、ユキちゃん(小5)、コージン(小5)、タイゴ(小5)、りょーた(小6)
トップロープの部⇒れんくん(小1)、ミサキ(小2)、ゲンちゃん(小2)、いった(小2)、トージ(小3)、しんのすけ(小4)、かんちゃん(小4)、リューセイ(小4)、ののちゃん(小5)、コーキ(小5)

ボランティアスタッフ:ユイちゃん(高2)、コーヘイ(中2)、タクミ(中2)

さて、大会当日。素晴らしいお天気だ

朝7時ごろ、作業用ロープを巻き上げたりしていると先ずタクミが、続いてユイちゃんが到着
2人ともご苦労さま
この時間に着くように家を出るのは大変だっただろうな。

勝手の分かっているコーヘイを中心に、とりあえずみんなには受付をしてもらうことに。
任せてしまったが、たまに様子を見に行くときちんと対応している様子
なかなかやるな~

大会に出場する子どもたちも続々到着
Y先生の司会で開会式のあと、いよいよ競技開始

リードの予選とトップロープはフラッシュ(人の登りを見たり登り終わった人に登り方や悪いところを聞いても良い登り方)なので、先ずはコーヘイとユイちゃんのデモンストレーションだ。
リードの予選2本ととトップロープの2本分、計4本を二人で一気に登ってもらう。お疲れありがとうね
子どもたちは結構真剣にデモに見入っていた

デモの後はいよいよみんなの番
名前を呼ばれた子から順番に

トップロープの部では、トージとゲンちゃんが小さい体で頑張っていた
この2人はなかなか安定したムーブで登ることが出来る
トージはまだあまりムーブを習っていないのに、自然と体が動くようだ。
あれよあれよと言う間に、難しい方のルートも最高到達点へこれにはびっくり

続いてコーキの粘りも目をひいた
指の強いコーキ。反面動きが少し遅いので、もう少し見切り良く行けるように練習して行こう
忙しいコーキは、なかなか思うようにレッスンに来られなくなることがある。
今回も練習不足みたいだったけれど、「やる気」が光ってた
よく頑張りました

マイペースなしんのすけ。
教え込もうとすると伸びなくなるように思うので、しばらくはあまりうるさいことは言わないようにしよう、と思っている子だ。
自由に登らせるととても良い動きを繰り出したりするので、これを大切にしよう
今日は張り切って頑張っているようだったね

いつもはすぐ「手が痛ーい」「あ、ムリ」となかなか根性を見せないリューセイ。
でも、今日は別人のよう
いつもは足置きがぞんざいでよく滑るのに、今日はしっかり足に乗って力を上体に伝える登りが出来ている
目をキラキラさせて集中した登りをしているのを見て、こちらがびっくり
いつもこういう登りをしていれば、上手くなるんだけどな~

まだクライミングを始めて間もないミサキ、いった、ののちゃん、れんくんはあまり思ったように登れないようだったね
でも、始めたばかりなのに、「大会に出よう」と思うその心意気が嬉しいよ
このチャレンジ精神が、クライミングではとても大事なの クライミングを続けて上手くなってね

クライミングをしばらくしていなかったかんちゃん。
今前のレベルに戻すべく努力を重ねている。
パパは今回のエントリーには反対だったみたいだけど、かんちゃんのプレゼンでお許しが出たんだね
今日はもちろん、思ったようには登れなかったと思う。
でも、「悪い時は悪いなり」に頑張ること、そして冷静に自分の状況を受け止めて今後の糧にすること。
賢いかんちゃんは、多分それが出来ると思う



トップロープのビレイにユイちゃんとコーヘイが手伝いに。
そして、何とMCにタクミが大抜擢
「うわ~ 緊張して足が震える~」と言いながらも、なかなか楽しそうなタクミだった

~つづく~
        

キッズコンペ「神奈川カップ」2013 プロローグ

2013-12-06 12:52:52 | コンペティション参加報告
11月2日(土)ルートセット作業
セット手伝い:コーヘイ(中2)

年に一度のビギナーキッズのための大会。
まだ各県の大会に出場できないレベル・年齢の子どもたちのモチベーション維持のためのツールとして、神奈川県山岳連盟のジュニア強化部長であるY先生と数年前から始めた大会だ。
私は主にルートセッターとして協力しているが、このコンペの卒業生であるコーヘイ(中2)とユイちゃん(高2)、・・・そして今回は選手として出場するはずだったのに、怪我をして出場できなくなったタクミ(中2)の3人が、ボランティアスタッフとして手伝いに来てくれた

自分の生徒たちにはもちろん強く、上手くなってもらいたい
広く世界にも羽ばたいて、色々な経験をしてもらいたい
でも、自分さえ登れれば・・・強くなりさえすれば、そして勝ちさえすればそれで良い、とは決して思わない。
むしろそうしたメンタルでの勝利には意味を感じない。
その子のその後の人生の充実においてクライミングが深い部分で重要な役割を担って行くためには、周囲の協力に感謝し、必要とあれば自分の力を役立てて行ける柔らかい心を育てておくことが重要だと考えている。
そして、子どもたちは基本的に心が柔らかい
こうした手伝いを「やりがいのあること」と捉え、喜んでやってくれる心をキープするとともに、大会運営の大変さをそれとなく、身体で知っておく良いチャンスなのだ


さて、大会はみんなが登るルートがなければ開催できない。
そのルートは、ルートセッターが必要なのだが、一応公式な大会であるため資格をもったセッターが作らなければならないという規定がある。
以前神奈川の子どもたちのコーチをしていた時に神奈川ジュニア担当のY先生から相談を受け、一応資格のある私が主にルートセットを、Y先生が事務関係を、という役割分担で始めたのだが、なにしろ貧乏コンペのため、人手が足りない
ルートを作っても現場には私しか登れる人間がおらず、試登(試しに登ってみてグレードを確かめたり、ムーブの作りの甘いところを指摘してくれる役目の人)要員がいなくてかなり困ったことがある。やはり他者の批評は大切なのだ。
そこでここ2~3年は、キッズコンペを卒業したコーヘイが試登要員として前日から手伝いに来てくれている

ルートセットは重労働である。
特にこの大会の場合、セット作業が開始できるのが前日の夕方5時過ぎからなので、いつもほぼ徹夜の作業となってしまうのだ
今回のルートはトップロープの部2本、リードの部の予選が2本、そして決勝の計5本とした。
グレードはリードの部の決勝で12a/b、予選は10c/d と11c、トップロープの部は10a と10d/11aくらい。
修正しては試登を繰り返さねばならず、大人たち(一人神奈川の方がセットの手伝いに来てくださった)は結構ヘロヘロ
その中コーヘイが元気にこちらの注文にこたえて登り、しっかりした意見も言ってくれたので、大助かりだった
また、私が決勝ルートを作っている間、コーヘイにトップロープの分の原案を1本考えてもらったが、ほとんど手直しが必要ないルートを考えてくれたね

↓ルート製作中はそちらに集中してしまい、写真がありません・・・これは照明も落とし、片付け中のコーヘイ