FCC日記

子どもたちのクライミングスクールの活動記録と教育、スポーツ、そしてクライミングに関して想うこと。

<アウトドアレッスン日誌>中・上級アウトドアレッスン

2013-05-31 13:49:24 | クライミングレッスン報告
5月5日(日)
メンバー:コーヘイ(中2)、タクミ(中2)

チームメンバーのうち、中学2年のコーヘイとタクミは、アウトドアの技術もだいぶ身について来た
特にコーヘイは小さい頃から外岩が大好きで、中級に上がってからもしばらくの間は、初級と中級の両方のレッスンに必ず来ていた。
なので、外岩でのクライミングをかなりの部分で自立して行えるようになってきている。

FCCの卒業の規定はまだ設けてはいないのだけれど、私としての理想はある
それは、
インドアでは明確な目標設定とそれに対する的確なトレーニング計画を自分で立て、さらにそれを「自律」的に実践出来るようになること
言いかえれば、アスリートとして自立すること。

そしてアウトドアにおいては、岩場に行ったら (行くまでは人に頼らなければならない部分もあるだろうが。たとえば車でしか行かれないエリアは、誰かの車に乗せてもらわなければならない)、自分の目標ルートをトライから回収まで全て自力で安全に出来るようになること。
これは想像するよりも大変なことだ
でも、これは最低条件

さらに上級では、将来的に仕事としてもつながって行くような技術を身につけてもらいたい
うわ~理想が高い
この高いハードルを越えられる子が出て来るのだろうか・・・?

今のところ、技術的に上級に一番近いところにいるのがコーヘイだ。
そして、タクミも外岩に出来るだけ参加して懸命に修行している。
この同級生の仲よし二人組を、今年はちょっとワンランク上の岩場に連れて行ってあげたい
・・・と言うワケで、今回の「二子」の企画と相成ったのだった。

さて、今日は「子どもの日」。しかも快晴の「岩場日和」だ
二子は車でしか行かれないエリア。
FCCでは初めて子どもたちを連れて行くエリアとなるので、参加者のご家庭に車での同行をお願いした。
今回はコーヘイママが、二人の悪ガキを積んでの出動となった ご協力ありがとうございます 
私一人で連れて行っても良いのだが、万が一何かがあった時のことを考えると、もう一人は大人がほしい。
そのうち、きちんと技術を身につけた卒業生が手伝ってくれるようになると嬉しいんだけどな~

二子、と聞いてルンルンの二人
先ずは「祠」エリアで足慣らし


アップ1本目は「話がピーマン」10a。
10aのくせに下部の一手がかなり悪いこのルート。
先に取りついたコーヘイもびっくり
でも、上部は「ガバガバ」(持ちやすくて大きいホールドばかりのこと)で楽しい~
タクミも難なくクリア


1本登って、前傾壁でのクイックドローの回収のし方を持参のホワイトボードを使って説明。
二子は前傾壁のエリアなので、この後彼らがトライするであろうルートは、これを知っていないと大変だ。
そして、今日はこの回収作業を覚えることが大きな目的の一つでもある。

さて、次は何を登ろう
二人はトポを見ながらあーだこーだ
中級以上ではメンバー同士で登りに来たと仮定して、登るルートも自分たちで決める。
基本的に私は陰の存在。
何か質問があった時、そして危険を冒す可能性がある時、彼らが学ばねばならない技術を教える時だけ登場する。
話題は登るルートから次々に転移し、自分たちの話に笑い転げてなかなか次に進まない
早くしないとあっという間に日が暮れちゃうぞっ

~つづく~

<レッスン日誌>プライベートレッスン

2013-05-29 13:54:46 | クライミングレッスン報告
5月4日(土)
メンバー:のんちゃん(小4)

ゴールデンウイークに入って、頻繁にレッスンに通っているのんちゃん。
なにしろ栃木県からの参加なので、「レッスンに来る」ということだけでも、彼女と付き添って来られるお母様のパワフルさに頭が下がる思いだ

さて、今、のんちゃんは初級修了という目標に燃えに燃えている
プライベートレッスンは、各自の課題や問題点にフォーカスする特別レッスンだから、今日ののんちゃんのレッスンは初級修了に向かって少しでも前進することに特化して基本練習は省略。
準備体操もウォーミングアップもレッスン前に済ませたのんちゃんは、いきなり10aの登り込みからレッスンを開始

今日は10aをリードで全て登り、ビレイのし方を教わってリードクライミングの安全性テストにも合格したい
さらに時間が余ったら、ボルダーのチェック項目である「6級を10本登る」もクリアさせたいと実に欲張りなのだ

しかし、欲張りなだけあって、意欲的に集中した取り組みを見せたのんちゃんは、10aを全てオンサイトでガンガン完登
すでにかなり登れるようになっているのんちゃんなので、普通の場合はトップロープでリハーサルするはずの10aを、いきなりリードで取り組んでいるのだ。
5本ほどをあっという間に片付け、前回登った分とあわせて10aをオールクリアした
10bにも1本チャレンジしたが、少々遠い個所も、気合いと小さい体を目いっぱい使った動きでオンサイト
気持ちの入った、実に良い登りだった

少々レストも兼ねて、ビレイのし方の練習
登らせてもらうばかりでなく、自分もクライミング通じて他者の役に立つ意識を育てたい。
なのでまだ小さい子でも、この「ビレイのし方」はこの項目に達すれば飛ばすことなく学んでもらっている。
ビレイシステムを学ぶことで、年齢と発育に応じて、「そのうち自分も」という心の準備をしておいてもらいたいのだ。
今日は手順をレクチャー。次回テストだよ

次に「リードクライミングの安全性」のテスト。
あるルートを登ってらい、ロープの中に体の一部が入ったり、Zクリップや逆クリップなどの注意点に気をつけて登り切れれば合格だ
何かをやらかしてしまうとその場でテスト中止なので、のんちゃんも緊張した面持ちで登り出す。
出だしは順調。が、中間部の凹角帯でロープの中に体を入れたまま動いてしまった
「ハイそこまで~」との私の声に、「ガーーーン」となって下りて来たのんちゃん。
次回、再テストだね

ラスト15分ほど時間が出来た。
急いで3階に上がって、ボルダー6級10本トライアル
集中を切らすことなく次々にオンサイトし、10本完登

1時間半、全く集中を切らすことなく課題に取り組み、初級修了にあと一歩と迫ったのんちゃんだった

<コンペに行こう>東京カップ ④

2013-05-28 13:00:19 | コンペティション参加報告
ユキちゃんの参加カテゴリーである「ジュニア女子」は、国体代表に年齢の届かない中学2年以下の子どもたちの枠だが、予選の完登者が18人中何と12名
子どもたちの大会は、勉強のためにも決勝進出者を多めに設定する傾向があるのだが、ルートセッターは参加者のレベルをはかってルートを作成するので、この結果は、予想よりも参加者のレベルが高かったことを示唆している。

決勝では、ちょうど真ん中あたりに登場してきたユキちゃん。
下部から結構頑張っている
中間部あたりまで来て、力の要るムーブが出来ずにフォールした
「もう、腕がバンバンだった」とのこと。
大会参加時にもさほど緊張を見せないユキちゃんだが、さすがに決勝では緊張もしただろう。
加えて、普段のルート練習時の姿勢も大事だね
ちょっと難しいと「ムリ~」と甘えていては、厳しいルートには対応して行けないんだよ~

表彰式で発表されたこのカテゴリーの決勝のグレードは、何と12b
このグレードの決勝ルートを、何と4人の子どもたちが完登した
その中には小学校中学年の子もいて、子どもたちのレベルが急上昇していることを再認識させられた
完登者が4人だったので、順位は登った早さで決定。
中間部でフォールしたユキちゃんは10位だった

FCCからのもう一人の決勝進出者のコーヘイ。
彼もまだ中学2年生なので、「ジュニア男子」というカテゴリーだ。
結構小さい頃から東京の強化選手に選出され、このカテゴリーでは最年長となるコーヘイとしては、大事なこの大会で、年下の子どもたちに負けるわけにはいかない
アイソレーション入りする前、私は彼に「他の人ととの競争ではなく、課題と自分、だからね」と声をかけた。
現在、コーヘイのメンタル的な弱点はプレッシャーに弱い、ということ。
気楽に登れる大会では体が動いて良い登りをするのだが、東京の大会のように期待の目をかけられたりする大会は動きが硬くなり、スリップなどの失敗も多い
私としては前回のユース選手権の時と同様に気持ちを作り、その気持ちの作り方を自分のものとしてもらいたかったのだが。

さて、登り始めたコーヘイ。
動きがとても速い まるでスピード競技のようにタカタカと駆け抜け、レストもせずに突っ込んでゴール取りでフォールした

戻ってきた彼に、何をそんなに慌てていたのか?を尋ねると、ルートがさほど難しくなさそうだったのでタイム争いになると考え、とにかく急いで登った、とのことだった。レストもしなかったため、最後までもたなかったらしい。
単純で面白いな~

今回は、言わば自らの「戦略」に乱されたんだね
「課題と自分」、と言ったはずだけれど、それはすっかり忘れ去られていたらしい

「あ~完登出来たはずなのに~完登して文句なく勝ちたかった」と悔しがるコーヘイ。
これもある意味、プレッシャーに負けた一例だろう。
でも、全ては経験。
これを今後の肥やしにして成長してくれれば、良い勉強の経験となるはずだ

とりあえず、コーヘイの高度まで達した子はいなかったので、コーヘイがめでたく優勝した

予選で敗れたタクミも今日一日、決勝を自分の目で見、体感した
大会参加をとにかくたくさんすることが経験になる、と言うこともあるかもしれないが、私はこうした他者視点での大会観察は最も良い勉強となると考えている。
そのレベルに達していない状況で大会に出場しても、本人的には何が何だか分からず、問題点も無自覚なままであることが多い。
今日のタクミのように、第三者の視点で冷静に大会を観察する機会は、内省を促し、自分を俯瞰して分析する良いチャンスとなるのではないか。


さて、タクミは何を感じ取ったのかな?
 
 ↓東京カップを終えて。お友達も一緒に

 ↓ジュニア男子の表彰式

 ↓みんなで集合写真


<コンペに行こう>東京カップ ③

2013-05-26 13:43:19 | コンペティション参加報告
ユイトは志望の国立高校に進学。
ロボットの競技にも積極的に取り組んでおり、今年も世界大会への進出が決定している
クライミングが大好きなユイトだが、いかんせん時間が足りない
それでも空き時間の隙間を見つけてはレッスンに来るのだが、いつも疲れている
やりたいことを全部やるのって、大変だね。

そんなこんなで、本人が予定した通りには力が戻っていない状況で今回の「東京カップ」を迎えたのだった。
が、本番に結構強いユイトは意外と粘り、彼のカテゴリーのルートを上部まで迫った
手順を間違えて戻ったのが直接のダメージとなってフォールしたが、今の力は出し尽くしたね
競技が終わった後は、涼しい顔で学校の数学の宿題に取り組んでいた。
あははひょうひょうとしていて、ユイトらしいなぁ

最後にコーヘイ。
コーヘイ的には予選は余裕を見せて完登したいところらしい。
子どもたちにもそれぞれ、妙な意地のようなものがあるんだね。
安定した登りで完登。
余裕を見せるつもりだったせいか、登りはかなりゆっくりだった

予選を終えて、決勝に残ったのはユキちゃんとコーヘイの2名だった

タクミに「明日は見に来るの?」と聞くと、「う~ん。。。分からない。。。
本人も気持ちの整理がつきかねているのだろう。
予選落ちした身で決勝を見るのはとても辛いこと。
それは私も良く分かっている。
でも、あえて、逃げずに来てほしい、とも思った。
「人の登りを見たり、決勝に出たつもりでオブザベを一生懸命してみることは、大きな勉強だと思うけどね。」
と言ってみると、「ハイ、来ます」ときっぱりと言った。

ユイトはロボット関係の大事な用事が決勝の日程とかぶっていたことは、前から聞いて知っていた。
決勝に出られないのは悔しいものの、反面大事な集まりを欠席せずに済んだことに、ちょっとホッとしてもいるユイトだった

翌日の決勝。
やはり良いお天気だ

アイソレーション入りする前のコーヘイとユキちゃんに慌ただしく声かけをして会場に行くと、
タクミも早くから来ていた。

決勝はもちろんオンサイト方式。
オブザベーション風景も、昨日に比べて人数が少なくてさっぱりしている。
タクミに決勝に出たつもりになってオブザベをするように声をかける。
真面目な彼は、双眼鏡で熱心に「ジュニア男子」のルートを見ながら、「わっる~」と声を上げていた。

 ↓決勝の選手紹介とオブザベーション風景


つづく



<コンペに行こう>東京カップ ②

2013-05-24 13:11:47 | コンペティション参加報告
さて、予選開始。
それにしても太陽が季節外れの勢いでジリジリと照りつけ、実に暑い
幸い、壁は陽を背にしているので、選手への影響はさほどなさそう

予選でのみんなの様子は・・・

ユキちゃんは最近かなり力をつけて強くなってきている
でも、メンタル的にちょっと弱い
怖かったり不安だったりすると、すぐに「テンション~
大きく動かなければならないところもなかなか超えられない
ボルダーなら出来るのにな~
なのでここ数カ月、ルートで大きく動く練習を入れて来た。
先ずはトップロープで練習し、自信がついて安定してこなせるようになったら次はリードで、という具合に。
近頃は進歩が見られ、慣れているルートなら、あまりストレスなくランジが出来るようになってきている

さて、今回の予選でも、1か所遠いところが。。。
ユキちゃん、ピンチか
でも日ごろの練習の成果が出せて、ボーンと飛び出して次のホールドを取ることが出来、無事完登

登り終えた本人も、「ランジの練習しておいて良かった~
まさかの予選通過だよ

今回の東京カップを頑張って、どう~しても憧れの東京の強化選手になりたいタクミ。
そのために普段の筋力トレーニングやランニングも頑張ってきたし、
同学年のコーヘイを積極的に誘って、パンプでの自主練習も、時間が許す限り頑張って通って来た
その想いを知っている周りの大人たちは、祈る思いで彼の予選での登りを見つめた

下部。なかなか良い。
ムーブ的にもミスはないし、なにより気持ち的に負けていない

彼の場合、極端に自信が足りない。
もっと自信を持って攻めれば越えられるようなところも、自分で「ダメだ」と思いこんで
自爆してしまうことが多いのだ
その弱点を本人にしつこく伝えて、近頃は少しずつ改善されつつあるのだが・・・
もう一つの問題点は持久力。
これは体力的な問題と、ムーブの安定性、という技術的な問題の両方が
微妙に絡み合っているようなので、改善にはまだまだ時間がかかりそう。

みんなが応援する中を上部まで達し、そこで力が尽きて来た
とたんに気持ちが崩れ、残念ながら完登出来ずにフォール
多分、決勝へは完登通過。。。
どよよ~~ん。。。
落ち込んでいる彼に、周囲は掛ける言葉を失っていた

 ↓東京カップ予選の様子


つづく