FCC日記

子どもたちのクライミングスクールの活動記録と教育、スポーツ、そしてクライミングに関して想うこと。

<レッスン日誌>中級レッスン@pump2

2013-12-20 14:04:50 | クライミングレッスン報告
11月19日(火)
メンバー:コーヘイ(中2)、たけくん(小4)

今日の中級レッスンは、タイプは全く違うけれどクライミングが大好きな男の子2人となった。

コーヘイはルートを登りきることに情熱を燃やすタイプ。
完登するための解決策を考え、突破する集中力にかけては秀でたものがある
恐怖心から手が出せなかった、という経験はほとんどないと思う。
本人もそれは自覚しているらしく、そこが自信の一つともなっている。
ただその分、「その時」の頑張りが彼にとっての最重要課題であって、普段のトレーニングや努力は「ま、いっか大丈夫だろう」と目をつぶりがち。
小学生の間はそれでも大丈夫だったけれど、中学生になって、それでは通用しなくなることもアタマでは分かって来た・・・が、多くの思春期の子どもたちがそうであるように、「自律的に実践する」ことはなかなかの難問らしい
お母様からも毎日の生活のダラケぶりの連絡を頂き、私のほうからも彼に話をする時間を持つことにした。
地道な努力を続けて行く「心の耐性」を獲得するためにも、やはりトレーニングが必要なのだ。
そして、それを身につけるのは、今この時だ

生活面で気が緩んでいる時はクライミングの調子もだだ下がりなものだ
レッスンでそのことを先ず本人に気付いてもらい、彼の「なりたい自分」と今の努力には著しい差があることを話した。
そして日ごろのトレーニングを「実践する」こと、何か1つ、雨が降ろうと槍が降ろうと必ず毎日続けることを約束した。

ほぼ1カ月、コーヘイは頑張った
顔つきもしっかりして来るとともに、パフォーマンスも上がって来た
そして今日、ずっとトライをし続けて来た「ツナミ壁」の13b黄色?を見事レッドポイント
彼の最高グレードを更新した
何かを変えて行くためには、本人自身の「気付き」が大切なんだな~


さて、たけくんはたびたび書いて来たように、怖がりなためにルートで力を発揮できない悔しい想いを繰り返して来た。
それでもめげずに自分を信じて、ルートから逃げずに挑戦し続けて来たたけくんは本当に強い子だと思う。

そんなたけくんが変わり出したのは、ここ最近。
「落ちる練習」のつもりで出を出してみる、ということを実践し出してからだ。
実践面ではそれがきっかけ。
でも、効果が出て来た理由はそれだけではないように思う

たけくんは静かな子だった。
特に自分の気持ちなどの抽象的なことに言葉を与えて説明することが苦手
それを求めると黙ってしまう
そこで、ここ1年以上、彼に読書と日記を日常の課題としてやってもらって来た。
真面目なたけくんはコツコツと課題を続け、語彙の幅を広げて来た

ある日の日記にクライミングのルートレッスンのことが記してあり、怖さと葛藤する自分の気持ちが綴られたあと、それを乗り越えるための心の持ち方として「覚悟を決めて手を出す」と書いてあった
それまで、どう自分の恐怖と向き合ったら良いのか分からなかったたけくんが、そのメンタルのあり方を自分の言葉で形にし、はっきりと自覚した
たけくんがルートで手を出せるようになったのは、それからだ。

そして今日、たけくんはショートウエーブの10cをレッドポイントした上に、奥壁の白↑10d も見事オンサイト
曖昧な自分の気持ちに「言葉」という形を与えて整理する・・・そうした力も、大事なんだな~

コーヘイもたけくんも、自分との戦いに一歩前進したことが分かった今日のレッスンだったね