FCC日記

子どもたちのクライミングスクールの活動記録と教育、スポーツ、そしてクライミングに関して想うこと。

<アウトドアレッスン日誌>初級

2012-06-29 11:27:15 | クライミングレッスン報告
6月10日(日) メンバー:ショータ(小5)、たけくん(小3)、ユキちゃん(小4)、しいちゃん(小6)、コーヘイ(中1)

小3から中1まで一学年一人ずつそろった感じ。
梅雨の合間のアウトドア
前日までだったため、早めに現地に行き乾いたエリアを下見
予想通り、「杣の小橋」や「デラシネ」、「すべり台」と「とけたソフトクリーム」の各岩は問題なし

駅でみんなと待ち合わせ、はじめに「デラシネ」へ向かう。
初級用アウトドアなのだが、正真正銘初級の人はショータ一人。
ふつうは「発電所エリア」や「杣の小橋」など、やさしい課題がたくさん設定できる小さい岩の多いエリアから経験してもらうのだが、初級のショータもかなり登れる子なので、いきなり「デラシネ」に連れて行っても大丈夫だろう。

予想通り少し高さのあるこの岩も問題なくたくさんトライ
「デラシネ」にある8級から4級までの課題を全員クリアした


中級の子たちの希望で「しりとり」トラバースのゲームでこのエリアを終了することにした。
これはデラシネの岩を地面に下りずにぐるぐるとトラバースで回りながら「しりとり」もする、というもの。
普通に落ちても、「しりとり」で負けても失格というもので、結構「しりとり」が核心だったりするようだ
以前中級レッスンでこの岩に来た時にチームのみんなで考案したゲームなのである。


他のクライマーもいらしたため、きりの良いところでゲーム終了。

お昼を食べてから 「すべり台」とすぐ近くにある「とけたソフトクリーム」岩へ移動することに。
予報では午後の早い時間から雨、とのことだったので、このエリアなら駅や雨宿りできるところが近いので急に降られてもあまり濡れずにすむ。

小学生のみんなは「すべり台」岩のやさしい課題から次々に登り、
この岩の名前にもなっている「すべり台」という6級の課題に挑戦
まさにすべり台のようなつるつるのスラブを登る課題だ。
小さな岩の凹凸を見つけてホールドやスタンスに上手く使うことと重心の移動が決め手の課題。
御岳デビューのショータやしいちゃんも善戦して全員が「すべり台」を完登
以前は外岩が怖くて全く動けなかったユキちゃんも、今日は良いモチベーションで臨みスムーズに動けて余裕の完登だった 成長しているね

コーヘイは「とけたソフトクリーム」岩の水際カンテ」2段や「トラバース」(初段)にチャレンジしたい
お父さんにスポットしてもらい、みんなとは別行動でそちらにトライしていたが、
「水際カンテ」は以前寒い時期には止まった下部のホールドが全く止まらなくなっていた
そこで「トラバース」に目標を変えてトライ。
出だしの悪いムーブが解決したところで雨が。。。
気合いを入れて1トライだけした。
かなり良い感じでトライ出来、可能性が見えたね


少し早目だったけれど、午後2時半ごろにお開きにした。

子どもの「個性」

2012-06-28 12:16:13 | 教育論
「個性を大切に」「個性を伸ばしましょう」よく聞くフレーズです。
一時期の全体主義的、画一的な教育の反動も手伝って、一気に定着した感があります。

確かに「個性」を重んじることは大切です。
しかし、それを実行するのは思いのほか大変なことです。
なぜなら、「個性」は一般的に「良い」と思われていることばかりではないからです。

人生を生きていくのにハンデとなること。それもまた「個性」の一つであると考えます。
それは善悪の価値観とは全く別次元のもの。
運命から与えられた「個性」なのであり、その個性ゆえに生じる「生きにくさ」も受け容れていかねばなりません。
その子は、その個性を抱えて人生を生き抜いていかねばならないのですから。

「個性を大切に」する、ということは、周囲の大人たちが、
上記のことも含めたその子の持っている全ての特質をまるごと受け容れたうえで、
その子にとっての最善の方法を考え、その子が少しでも前進したり、充実感を得るように環境を整えることだと思います。
言い換えれば、生き抜いていける力を獲得する手助けをすることだと思います。
それは、覚悟のいることです。

私は、うちのスクールに来る、クライミングの好きな子どもたち全てに
クライミングを通じて命を輝かせてほしいと願っています。
どのような「個性」を持った子も。
個人個人の特性に合わせたアプローチ、すなわち「個性」を大切にすることは指導者の義務であり、
その義務の遂行に必須なのが保護者の方との話し合いと、そこから生まれる信頼関係だと考えます。
そしてそれを可能にするのは、保護者の方の、運命を受け容れる「覚悟」ではないでしょうか。







<レッスン日誌>ビックロックスクール

2012-06-27 15:32:38 | クライミングレッスン報告
6月6日(水) メンバー:リュウくん(小4)、たけくん(小3)、しいちゃん(小6)

1回目なので、ボルダー館でのボルダーレッスン。

レッスン前には必ず、子どもたちの「今日の目標」を聞いているが、今日はリュウくんが「100度右」と仲間内で呼んでいる壁を徹底的に登りたい、と言う。一番易しい課題(ここでは赤テープ)から始めて、どのグレードまで行けるかやってみたい、と言うのだ。
「どこまで登れるか選手権だね」と言うと、他の「今日の目標」を考えていたたけくんとしいちゃんも「えー、それいいな~、おもしろそう」と俄然乗り気になってきた

セッション方式のプチコンペのようになるので、集中力を発揮して課題と取り組む練習に良さそうだ。
なので、今日はコンパネ1枚分位の極小さい範囲限定のプチコンペとなった。


準備体操とそれに続く基本練習のあとセッション開始。

サッカーもやっているリュウくんが、この3人の中では一番登るチャンスが少ないが、頑張って長年続けているおかげで近頃は基本の動きがだいぶ身について来た
かつて、今は卒業して中学生になったセンパイ達から「筋肉太郎」と異名をつけられていたリュウくんは、筋力がとても強い。
小学校低学年なのにパワフルな動きにも耐えられて、足ブラになっても落ちないでいられる 
その代わりについつい力に頼ってしまうので、重心の位置などを感じながら登ることが苦手なためにムーブが実践で使えず、とにかく手を出して止まれば登れる「出たとこ勝負」登りだった。
が、近頃はムーブをきれいにつなげて登れるようになってきたので、力を活かせるようになりグレードもアップ 力があるので、デッドポイントのような大きな動きはなかなか良い

たけくんはなかなかの負けず嫌い。
今までボルダーセッションはあまり経験がなくひたすら自分の課題と向き合ってきたけれど、たまにはこういうセッション形式でボルダーをすると、ここぞと言う時に力を出す良い練習になるかもしれないね
今までのたけくんのクライミングとの向き合い方を考えるとちょっと意外だけれど、もしかしたらコンペに向いているかもしれないな~ とふと思った。

やはりマイペースで争いが嫌いに見えるしいちゃんも、たけくん同様意外な一面が見えた
しっかりと勝負を受けて立ち、今日は1課題差でしいちゃんがウイナーとなった

今日は図らずもこういう形式のレッスンとなったけれど、みんな集中して登って、なかなか良かった
 

ロボカップジュニア世界大会・表彰式の写真

2012-06-26 11:26:37 | 教育論
ホームページのトピックでも紹介しましたが、ユイトがロボカップジュニアの世界大会で優勝を果たしました
まずは「レスキューAプライマリ」という競技において、世界各地で戦い抜いてきた強豪30チームの中で優勝
さらに上位12チームがくじ引きで2チームごとの即製チームを作り課題をクリアする、という「スーパーチーム」という競技においても優勝しました

これは学んできた知力や技術力を生きた形に表現するという「知の身体性」を獲得していることの証左として、とても素晴らしいことだと思います。

特に私は後者の優勝に注目したい。
この競技においては、上記の能力のほかに高度のコミュニケーション能力が必要とされると考えるからです
限られた時間内で解決すべき課題を、初めて顔を合わせる他国の子どもたちと協力して行わなければならない。。。
これは英語という言語ツールで自分の意見もしっかり主張し、伝え、相手の意見も理解したうえで折り合いをつけることを、的確にかつ迅速に行わなければならない、ということだろうと想像されます。
ということは、単なる知力だけでは補えない、人間の基本能力、「人間力」が問われるということになります。

こうした総合的な能力の発揮が必要な競技において優勝をおさめた、ということは、本当に素晴らしいし嬉しいことです

そして私たちのやっているクライミングという競技においてもまた、究極的にはこうした人間力が問われます。
物事は全て地下の水脈でつながっている。。。
机上の「勉強」や上っ面の「技術」に終始しない、大きな広い力を身につけて行きたいものです。

この大会の様子を綴った本人たちのブログ⇒http://amalgam.ldblog.jp/archives/9499361.html

↓ 戦いが終わってボロボロの本人に代わって、ユイトのお父様が送ってくださった表彰式の写真です。


<レッスン日誌>ちびっこクラブ@pump2 

2012-06-24 22:55:11 | クライミングレッスン報告
6月5日(火) メンバー:リオンくん(小3)、はや君(小1)、ゲンちゃん(小1)、トージ(小2)

準備体操とウォーミングアップを兼ねたゲームの後は基本練習。
スラブ壁を4種類のフットワークでトラバース
もう少し大きい子たちが行っている、極小スタンス(足場)だけを使ってトラバースする「ビス留め」という練習項目は、小さい子どもたちにはちょっと大変
そこで今日は足で踏んで良いスタンスホールドの色を限定することにしてみると、力のない小さい子たちにもちょうど良い感じ
しばらくは「ビス留め」の代わりにこれだね

今日は正対引きつけの練習をしながら10~9級の課題4本を全て登った。これは全員がクリア

小さい子どもたちのこのスクール、なぜかいつも時間が足りない
近頃はゲンちゃんのパパがビレイを手伝ってくださるようになったので大助かりだありがとうございます
今日は長いギャラリー壁にチャレンジしたい子と、ダイヤモンドの短い壁をやりたい子の二手に分かれることが出来た。

みんなの目標に合わせた希望を聞くと、
リオンくんとはや君はギャラリー壁、ゲンちゃんとトージはダイヤモンド壁のルート課題をやりたいとのこと。
そこでゲンちゃんとトージはゲンちゃんパパにビレイをお願いすることに。

リオンくんはボルダーで頑張りすぎて力尽きリタイヤ
はや君は茶色■5.7を完登

ダイヤモンド壁に行ったゲンちゃんとトージも今日はじめてルートにチャレンジし、
ゲンちゃんはオレンジ■5.7、トージは青■5.5を完登した

子どもたちの自発的なモチベーションを大切にしたいため、なるべく彼らの希望・目標を叶える形でレッスンを進めたいと思っている。
自分で決めた目標に対しては、子どもたちは実に良い頑張りを見せてくれるからだ。
そしてそれを達成した時の満足感と嬉しさは、子どもたちの「やる気」にさらに火をつける
この根源的な自己報酬のサイクルを子どもたちに経験させてあげれば、様々なシチュエーションで前向きに取り組んで行く姿勢を自ら作って行くことができるだろう。