FCC日記

子どもたちのクライミングスクールの活動記録と教育、スポーツ、そしてクライミングに関して想うこと。

キッズコンペ「神奈川カップ」2013 ③

2013-12-11 13:51:42 | コンペティション参加報告
決勝のルートも出来、アイソレーションである食堂に行くと、和気あいあいとしたのんびりムードで決勝進出の子どもたちは「ポカ~ン」とテレビを見入っていた
このお茶の間のようなのんびりムード・・・ とても戦い直前の様子とは思えないけど、ここが子どもたちの良いところだね
真剣だけれど、争いの心がない

「そろそろオブザベーションだから、準備しておいてね~」と声をかけると急に「トイレ、トイレ~」と慌ただしくなった。

さて、オブザベーションタイム
制限時間(たいてい6分間)以内でルートの下見
みんな一応双眼鏡(上部のホールドなどはよく見えないので、双眼鏡の利用はOKとなっている)は持っている子が多かったが、一通り上まで見るとあとは「・・・
みんなボーっと立ったままでいるので、声をかける。
「本当にちゃんと見たの?スタートとかは地面から足が離れないところまでは触っても良いんだよ。見えないところは競技エリアの中なら見える所まで動いても良いんだし。分からないところがあったら、セッターに聞いても良いんですよ
あ、そーなのーと言う感じでいきなり動きだす子どもたち。
バタバタし出したらあっという間にオブザベーションタイムが終了となった

決勝ののんちゃん。
小さい体と気力を目いっぱい使って頑張った
が、傾斜帯に入る直前の、ちょっと遠いところで足が滑った感じでフォール
オンサイトのためか、前半からかなり力を使う登り方だったので、もう力も限界だったみたいだね。
オンサイト力を上げるのは難しい
心も、技も、体力も・・・全ての力をまんべんなく伸ばして行く必要があるからね


もう一人FCCで決勝に残ったユキちゃん。
最後の方の登場だが、まだ上まで行った子はいない。
ユキちゃんも元来は筋金入りの怖がりで、私もユキちゃんのママも彼女のルートの力を伸ばすのに苦慮して来たが、昨年あたりからルートにも意欲的に取り組むようになり、それに従い実力もアップして来た
大会でも決勝に残れるようにはなって来たものの、決勝になるとまだ踏ん張りが利かず、春の大会ではすぐに手が張って下の方で落ちてしまいがちだった。
今回のルートも、最大傾斜のルーフの渡りでちょっと遠いところが出て来る。
ぴょんと飛びついて足がきれてしまうような動きなのだが、ユキちゃんは苦手そうだなぁ・・・

飄々とルートに取りついたユキちゃん。
下部はかなり安定して楽そうにこなして行く。
さて、いよいよ例の遠いところ。。。かなり困った様子
何とかスタティックに行こうとして試行錯誤。
やっと覚悟を決めて飛びつき、案の定足がきれたが、耐えた
以前のユキちゃんなら、この後のルーフの抜け口の第2核心で落ちていただろう。
が、今回は粘りを見せた
かなり手が張っているようだが、手をシェイクしながら第2核心も越え、最後ゴール直前の核心へ
執念と言っても良い渾身の登りで見事ゴールを掴んだ
そして、クリップ・・・と同時に「時間です」のアナウンス・・・。
下りて来て、Y先生からタイムアップのため完登が認められなかったことを告げられて、ユキちゃんは声を上げて号泣した

岩場ならどれほど時間をかけても良いのだが、競技には時間制限(6~8分)がある。
決められた時間内に登りきらなくてはいけないのだ。

完登に至る登攀中の心の葛藤・・・それに打ち勝ってのゴール取り・・・こんなに達成感のある、嬉しいことはない。
しかし、今その努力が報いられなかったユキちゃんの気持ちを思うと、見ている私も一緒に泣きそうだ。。。

・・・と、ビレイ補助の手伝いをしてくれていたユイちゃんが、ユキちゃんのところに駈け寄り、手放しで泣いているユキちゃんのロープをほどき、抱えるようにしてユキちゃんをママのところに連れて行ってあげてくれた
いつも一緒にレッスンを受け、ユキちゃんから小生意気な口をたたかれているユイちゃんだが、この小さな妹分の心の痛みを黙って見ていられない様子だった。
後日、ユキちゃんママから、「号泣しているユキのところに駈け寄ってくれたユイちゃんを見て、FCCで良かった、と心から思いました」というメールを頂いた。

諦めずに最後まで頑張り通して、大会という場で渾身の良い登りを見せてくれたユキちゃん、そして心の成長を見せてくれたユイちゃん
私は、とても誇らしかったよ

 ↓決勝のユキちゃん


~つづく~