78回転のレコード盤◎ ~社会人13年目のラストチャンス~

昨日の私よりも今日の私がちょっとだけ優しい人間であればいいな

◎それが最後の涙だった ※未完【即興小説削除作品供養会場】

2014-07-21 01:53:11 | ある少女の物語
※『即興小説トレーニング』(http://sokkyo-shosetsu.com)に匿名でひっそり投稿しひっそり削除した作品を、勿体無いので投下し供養する主旨です。
※現在は「当方128」というHNで投稿しています。興味があればお立ち寄り下さい。



お題:戦艦の小説 必須要素:扇風機 制限時間:30分 文字数:449字

 もし112も存在する元素のうち最も輝いているものはどれかと誰かが問うのなら、今の私は自信を持って78番目のプラチナであると答えられるだろう。私の手中で輝き続けるそれは紛れもない婚約指輪。
「帰ってきたら結婚しよう」
 思い出す度に涙を誘う。その言葉をくれた人は、もうこの世界には居ない。こんなにも愛しているのに、どうして私は彼の為に何も出来なかったのか。
 斎場を出ると扇風機のように波打つ風が頬を強引に乾かした。もう泣かないと決めた。
 そして今、私は彼の愛した机の上で彼の筆を走らせている。彼も小説家だった。後から分かったことだが、私にプラチナの指輪とプロポーズの言葉を残し戦艦に乗り込んだ後、争いながら物語を語り続けたという。書くもの手段も皆無の中で、口頭という唯一無二の手段を用いた。書き出しはこうだった。
「もし112も存在する元素のうち最も輝いているものはどれかと誰かが問うのなら、今の僕は自信を持って、どれでも無い、君だ。と答えられるだろう」
 叶えられなかった彼の夢を、私は追う。

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