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◎『水曜日のダウンタウン』モンスターアイドル感想……“クロちゃんのフラれ芸”という新たな鉱脈

2019-12-27 03:45:53 | ほぼ週刊サンマイ新聞

豆柴の大群デビューシングル『りスタート』

 

 12月25日放送のTBS『水曜日のダウンタウン モンスターアイドル最終回』を観た。久々に腹を抱えて笑った。この番組の面白さについて、(1)番組の演出・藤井健太郎と、(2)音楽プロダクション「WACK」社長の渡辺淳之介、それぞれの異なる思惑を推測しながら解説する。

 

 まず(1)藤井の思惑だが、同番組で過去に放送した「フューチャークロちゃん」「モンスターハウス」などを観ても分かる通り、藤井が視聴者に見せたいのは“クロちゃんのゲスさ”であると言って良いだろう。クロちゃんの気持ち悪い言動がガチ過ぎて、特に近年の企画は“笑い”よりも“不快”の感情が先に来る視聴者も多く、事実BPOへの苦情にも繋がっているわけだが、それこそが藤井の思惑だと言っても強ち間違いではないだろう。

 お笑い番組を評論するコラムニストとしても知られる弁護士・高橋維新氏は以前、自身のブログこのような記事を綴った。

 

>「水曜日のダウンタウン」という番組(と、藤井健太郎という作り手)は、笑いを提供することを第一目標とはしておらず、人間の弱さ・汚さ・醜さを画面上に析出させることを第一目標にしている節がある。(中略)笑いは、あくまでその中で副次的に生み出されるものに過ぎない。

 

 これを今回の「モンスターアイドル」の場合で説明すると、沖縄合宿においてクロちゃんのアイドル候補生に対するセクハラまがいの行為が何度も映し出された。藤井はそれを見せたいが為にゲスのクロちゃんがアイドルをプロデュースするという“あえて危険な企画”を発案したのである。そして結果的に、その不快な言動の先には“カエデ(とナオ)にフラれるクロちゃん”“プロデューサーを解任され罰を受けるクロちゃん”という2つの“笑い”が生み出されたことになる。特に前者“クロちゃんのフラれ芸”はテレビ史に残る名場面と呼べるほど面白かったので、是非Paravi(初月無料)等で全ての国民に観ていただきたい。

 

<クロちゃんのフラれ芸は必見!『水曜日のダウンタウン2時間SP』はParaviで視聴できます

 

 そして(2)渡辺の思惑は言うまでも無くWACK発のアイドルグループを新規に立ち上げブレイクさせること。地上波のプライムタイムで毎週放送される『水曜日~』で取り上げれば大きな宣伝になる。番組後半の生放送パートにて豆柴の大群の新曲披露や、BiSHを始めとする所属アイドルが多数出演してきた部分は『水曜日~』のテイストとは大きく異なっているが、そこは藤井ではなく渡辺の希望によるものだろう。

 

 クロちゃんのゲスさを見せたい藤井と、新規アイドルを立ち上げ宣伝したい渡辺。両者が元々知り合いで、かつ互いの利害が一致したからこそ実現した今回の企画。相変わらず『テラスハウス』を意識した“リアリティーショー”の作りになっており、ある程度の台本は存在するのだろうが、“クロちゃんのフラれ芸”という新たな鉱脈を発掘した藤井はお見事としか言いようが無い。今後もクレームに屈せず鉱脈を発掘し続けていただきたい。

 

(#39:1198字)

 

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