手術痕を見せたがる女

１５日（木）に退院してきてから、１０日余りが経った。

この間にアタチはスタッフ全員をつかまえて

（但し、送迎バスのオッサンはのぞく）、開腹手術の痕を見せた。


傷はみぞおちのあたり（？）から、おへその約１ｃｍ上までの約１２ｃｍ。

ラインはグジグジで、きたな～い、けど、何だか愛おしい。


人に見せる時の私は、なぜか、いばってる。

「へっへん、どうだっ！！！」って感じ。

何で威張ってしまうのかわかんない。


６日（火）に手術をして、一番最初に（１０日・土）お見舞いに来たのは兄一家だった。

（元気になるまで来ないで、と電話しておいたのに来やがった）


その日は、術後初めての食事が始まる日（ランチからだった）で、

実は私は前日から眠れず、精神的にへこんだり、いらついたりしていた。


ドクターより

「食べ物が逆流する可能性もある。それがひどいと、食道を荒らす為、再手術で胃は全摘になります」

などと説明を受けていた為、ランチが配膳された時

（おかゆ以外に３種類もおかずがついていた）、


付き添いで居てくれた老母（こいつも来ていらんと言ったのに付き添いにきやがった）が

「わ～、こんなに食べられる、ヨカッタね！」と無邪気に、はしゃいだ途端、

何だか、無性になさけなくなって、大泣きしてしまった。


入院して初めて泣いた。

母に説明することもできずに泣いた。


痛い時はこらえて、ナースコールもしなかった私なのに、

初めてナースコールをした。


その日、ちょうと私の大好きなナースさん

（３０才代後半。子供がおふたりいる元気印のナースさんである）が当番だった。


「つらいね。デリケートな時だものねぇ・・・・」と優しく声をかけてくれるナースさんの前で

思いっきり泣いた。

年甲斐もなく泣いた。


そこへ兄一家が来た。

普段、人前で殆ど泣いた事の無い私を見て、

兄たちは遠くから来てくれたのに「病室に入らないで、会わないで帰る」と、

てんやわんやの状態になった。


兄たちを廊下で待たせる事、約１５分。


大泣きした私は、いつの間にかケロリンとして、

食事を少しいただき、痛み止めの薬も飲み、兄たちと談笑した。


２時間も一方的に喋った。

（またまた私の本領発揮。喋り出すと突然元気になる!？笑）

超いやがる兄にも傷口を見せた。


さて、傷口を人はなぜ他人に見せたがるのだろう。

同情が欲しいのだろうか？？？


私が逆の場合は、

どちらかというと、へへ、あまり見たくはない・・・。

なのに、なのに、なぜか人に見せたい・・・。

今は、この矛盾した気持ちと葛藤する日々（そんなエエもんとちゃうが・笑）。


けどね、

今度ね、

彼とね、

ベッドインする時はね、

見せない。


絶対、見せない。

彼にだけは絶対見せたくない。


だから、腹巻き、していく。