漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

続・初めての合格のために その6  ~覚えることを減らす~

2015-02-22 16:54:29 | 初めての合格のために
 漢検1級の範囲は厖大です。6000字のすべての漢字のすべての音訓、さらにそれらの組み合わせの熟語すべてを見据えてその8割を記憶することなど、とても人間業でできることとは思われません。なのでいかに効率よく学習して本試験で160点を取るかがこの一連の記事の主眼なわけですが、そのためにはそもそもの入り口で「覚えるべきことを少なくする」ことも重要です。今回は、そんなことについて書いてみます。



1. 覚える音訓を減らす

 過去問はとにかくそのまま出されたら反射的に正解できるまで徹底的に、と書きました。つまり始めは、出てきた漢字に他に音訓があっても、まずはそれは無視してひたすら問題にたくさん触れて過去問で問われた音訓を覚え行くことをお勧めします。しかしそれだけでは合格までは行きつきませんので、一定の基礎力が着いた段階からは、やはりそれ以外の音訓も覚えて行くことになります。
 しかし、その追加で覚えるべき読みはその漢字にある音訓すべてかと言えば、そんなことはありません。結論から言えば、160点を取るための音訓は、「漢検 漢字辞典」初版に掲載されているものだけで十分 だと思います。

 もともと、漢検協会が定める正式な出題範囲は、「漢検要覧 1/準1級対応」に記載されている漢字とその音訓です。一方、「漢検 漢字辞典」初版に掲載されている音訓(特に訓)は、それより大幅に少ないものであり、また少なくとも平成15年以降、「辞典」初版に載っていない音訓が問われたことはありませんでした。昨年、「辞典」が改訂されて第二版となり、記載されている音訓(これも特に訓)が大幅に増加したことはリピーターの間でも大変話題になっており、今年6月の試験以降はこの追録された訓も実際に出題されるのではないかと推測する向きが多い(私もそう思っている者の一人です)のですが、確かに出題はされるようになるかもしれませんが、それが相当の比率を占めるようになるとは、どう考えても思えません。出されたとしても、1回の本試験でせいぜい2~3問どまりではないでしょうか。私がそう思うのは、単にいままでの方針を急に大幅には変えないだろうと思うからだけではなく、そもそも「初版」にその読みが採録されているのは、その漢字の読みの中でも重要だからそうなっていたはずと考えるからです。まったくの私見ですが、「辞典 初版」は、「要覧」に掲載されている厖大な音訓の中から、本試験で問われやすい重要な読みがどれであるかを示してくれる貴重な資料になったと言えるのではないでしょうか。



2. 覚える四字熟語を減らす

 シリーズの「その3」で少し触れましたが、「漢検 四字熟語辞典」に1級配当として掲載されている四字熟語(約1100語)の中には、覚える必要がないと思われるものがそれなりに含まれています。どれを「覚える必要がない」と考えるかはリピーターの間でも考えの相違があり、最終的にはご自身の判断ということになりますが、私が考える「覚える必要のない四字熟語」は、例えば以下のようなものです。

a) 漢検配当外漢字が含まれているもの
 これは「覚える必要のないもの」の筆頭でしょう。異論のある方も少ないことと思います。

b) 意味内容からして出題されないと思われるもの
 ここは主観がかなり入るところですが、例えば以下のような熟語は覚えなくて良いと思います。(意味は書きづらいので省略。お手数ですが、各自でお調べください。)
  【合歓綢繆】 【雲雨巫山】 【折花攀柳】 【鳳友鸞交】 【桃花癸水】   など

c) 固有名詞(特に、余りメジャーでないもの)以外の部分の漢字がない、または易しいもの
  【王楊盧駱】 (初唐の詩人4名の名前を並べたもの)
  【瀟湘八景】 【渭浜漁父】 (【瀟湘】 【渭浜】 は地名)
  【鄒衍降霜】 (【鄒衍】 は人名)

 私は臆病な質(笑)なので余り大胆に学習範囲から除外することができず、約1000個の1級四字熟語を勉強の対象としていますが、あるリピーターの方は700個程度まで絞り込んでいらっしゃるそうです。これまで実際に本試験で問われた熟語はまだ300にも満たないですから、そういう意味では700個学習すれば、十分に「網羅した」と言えるのかもしれませんね。このあたりは、ぜひご自身で1級四字熟語すべてを確認する中で、個々の熟語を取捨選択いただければと思います。


 
3. 覚える熟字訓・当て字を減らす

 ここは比較的単純で、「過去問・完全征服・分野別にある問題だけを学習対象とし、かつ、地名・国名は除く」 で良いと思います。これまでの本試験の傾向からすれば少なくとも5~6問、多くの回では8問程度を正解することができるでしょう。熟字訓がお好きでさらに+αを、という方であれば、「辞典」巻末の「熟字訓・当て字索引」をすべて網羅(この場合も地名・国名は除外して良いでしょう)すれば、ほぼ毎回10点満点が期待できます。1700個ほど覚えれば得点源になるということですので、気の進む方にはお勧めします。