=118 ~木の因数分解~(家具工房つなぎブログ)

南房総でサクラの家具を作っています。ショールーム&カフェに遊びにおいでください。

「胡同の日常」

2020年05月12日 | 【海外出張】パキスタン編
「10日間アートチャレンジ vol.4」

中国北京より「胡同の日常」

氷点下の冬がようやく去ったと思えば、
すぐに夏がやってくる、北京の春はほんとに一瞬だ。
埃っぽい北京の空気が多少なりとも落ち着き、
決して豊かとはいえない都市の緑も存在感を増してくる。
5月という時期はどこでも気持ちのいいものだ。

この一時私はこの胡同(北京の裏道や下町を指す言葉)に通勤していた。
というのも、
この胡同にある知り合いの画家さんのギャラリーをお借りして、
帰国を前に中国で撮影した写真展を開催するご縁を頂いていたからだ。
準備期間から開催期間中、少なくとも3週間から一か月弱くらい。

毎日同じ地鉄(地下鉄)に乗り、
同じルートでこの下町の通りを歩いていると、
移動売店のおばちゃんと馴染みになったり、
いつも同じところで門前歯磨きをしているおっちゃんとかに出くわすことがルーティーンになってくる。

当時の胡同はまだ下町の集団生活色が濃く、
たとえば町内のトイレは共同で「通称ニーハオトイレ」が健在、
様々な人々が密接な距離で濃密な日常を送る生活の場であり、
私はそんな風景を眺めているのが好きだった。

「アイよぉー」と言いながら鉄の軋む音を立てるブレーキをかけながら曲がっていく荷台付き自転車、
「トイヤァー」なんて言いながら、立ち話に花を咲かせるおばさんたち。
この写真を見れば、決して動画ではないけれど写真に映る細部のひとつひとつが、
当時の風景を鮮明にそれこそ動画のように私の頭の中で再生してくれる大好きな一枚です。

ちなみにこの胡同の名は「豆板胡同」。
そうあの豆板醤の。(※中国語では板が違う漢字になります)
現在も存在しますが、
残念ながら写真のような風景は既にありません。
とても幅の広い立派な道路になり、
高層ビルやアパートの立ち並ぶストリートへと変貌していることを
オリンピック後の2009年に確認済み。
そういう意味も含めて私にとっては大切な一枚ですね。

「在りし日の胡同の日常」
といった題名のほうが正しいかったかもしれません。



コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 今年も安全強化月間がやって... | トップ | 鮨匠なか川 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

【海外出張】パキスタン編」カテゴリの最新記事