=118 ~木の因数分解~(家具工房つなぎブログ)

南房総でサクラの家具を作っています。ショールーム&カフェに遊びにおいでください。

天地人 フンザの少女

2020年05月22日 | 【海外出張】パキスタン編
10日間アートチャレンジ vol.8」

「天地人」


自分が危険を冒してまで向かったパキスタンの目的地、
それはヒマラヤの六千、七千メートル級の山々に囲まれた谷「フンザ」。
春に訪れれば杏の花が咲き乱れ、そこはまるでこの世の桃源郷とも、
ナウシカの風の谷の舞台ともいわれている地だ。
昔旅先で出会った人からその谷の存在を聞いた私は、10年以上もの時間憧れを持ち続け、
ようやくフンザへの旅程を立てることができた。
首都イスラマバードから未舗装道路を含め30時間くらいの過酷なバス旅を経ての到着。
が、例年より寒冷だったために杏の花の満開には数日早かったのだが。。。まぁこれも旅です。

写真はその谷で撮影した一枚。
少女が真剣な顔で杏の花に手を伸ばし、よく見れば足元には石ころまで積んでいて
「あともう少し」って思わず言ってしまったかもしれない。
実は被写体を見つけてから撮影までほんの数秒の猶予しかなく、
私の写真歴の中でも最速のクイックモーションを求めれたと記憶している。
マニュアルカメラの露出とフォーカス、フレーミングを合わせながら、
最適な瞬間にシャッターを押す、「そう、彼女の手が伸び切った瞬間」だ。
手応えはあったものの、フィルムカメラゆえその成否が判明したのは帰国後に現像してからであったが。

「天地人」
とはそもそもの意味やいろいろな例えがあるだろうが、
私は自己流に写真撮影にあてはめ、
好きな写真が撮れたときはいつも「天地人が合わさったな」なんて思っている。

「地」は、例えばきれいな風景や趣のある街並みなど撮影スポットであるが、実はその場にいるにはそこへ赴く意思が必要であり、
さもなくば写真を撮ることはできず、当たり前のようだが現場性という写真にとって最も大切な要素だと思っている。
そのうえで、私は風景だけの写真よりは何かしら人が映っている画が好きなので、
「人」は、まさしく人。しかもその風景やシーンにはまるお爺さんだったり子供だったりが、
どこからかともなく現れてくれることが多かったので自分はとてもラッキーだった。
そして「天」は光の具合を含めそれらが融合する一瞬のタイミングではないかと解釈し、
その結晶が一枚の写真としてフィルムに焼き付けられている。

なんて言ったらちょっとかっこつけすぎで笑われるかもしれない💦
でも現代では4K?8K?の動画を回し続け、あとからお気に入りの静止画を切り出せばそれで事足りる時代のようであるから、
まったくもって過去のロマンチシズムであろうと自覚しているのでお許しいただきたい。
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