
この文庫本サイズの009のアラカルトな作品集は2004年に初版が登場。
連載開始の1964年から40周年企画のひとつだったようだ。サイボーグ0
09ゆかりの作品を集めたマニアの教科書か参考書のような内容だ。た
のしい幼稚園版の2色カラーの5ページ短編。昔は巨匠も幼年誌に自ら
描く事が時々あった。次は1968年のモノクロアニメ版のエピソードで使
われた読み切り作品の金色の目の少女と、怪人同盟の変身。ゲゲゲの鬼
太郎や さすがの猿飛でも原作の不足から別の作品のエピソードをもらっ
てくる裏技をしていた。ただ、原作の009は天使編以前には宇宙人は
登場しなかったので、金色の目の少女は009のエピソードとしては少
し違和感が残る。しかし、地球侵略と雪女を違和感なくミックスさせて
少女誌で発表する技はさすがとしか言えない。009の大人女性版の0
09ノ1・初期のサイボーグ設定のヒーロー達・神々との戦いの導入部
の短編小説など知っておきたい作品がいつくも山盛りである。009ノ
1は1969年の最初のドラマ版はSF色が排除されバレエ団のプロモ的な
探偵ドラマになったため賛否が分かれたらしいが、その後は原作を意識
してのアニメ・実写化がされているし、神々との戦いの方も鳥の怪人と
の対決シーンはアニメ化もされている。漫画の描き方の入門書で読んだ
作品もあったりでもう満腹状態だ。一番興味を引いたのは1966年と1967
年の劇場版、更に続く1968年のモノクロテレビシリーズでアニメになっ
た際に、初老の筈の007が親しみやすいように子供の姿にされて、原
作でも時々子供の姿になっていたが、その子供007をモデルにしたサ
イボーグーちゃん。子供007はアニメのスタッフが勝手に作ったイメ
ージがあるが、石ノ森氏がどれくらい関与していたのかが気になる。そ
の10年後の1979年に全く別のスタッフでのアニメ化された時は原作通り
初老に戻され過去のモノクロ版しか知らない人は「何故いきなり大人に
?」と驚いたらしい。そちらはカラー版と呼ばれているが、この時代に
はもうモノクロの番組はなく、実験的にステレオ音声の番組が作られて
いた。とにかく、009について深く知りたい人には必携といえる本だ。
20年以上気付かず放置して申し訳ない(誰に謝っている?)。
~PS~
今日の記事も長く時間をかけて書きました。