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子宮内膜症、子宮筋腫に対する腹腔鏡下手術はどこまで進歩できるか?

子宮内膜症患者が腹腔鏡下手術を受ける価値があるのか?その3

2006-05-26 | 子宮内膜症
癒着の痛みについて考えてみる。

ほとんどの患者さんは癒着が痛みの原因になると考えている。本当だろうか?たとえば骨盤腹膜炎などで腹腔内に癒着があったとしても、それが月経痛の原因になることはない。術後の癒着が頑固な痛みの原因になることもほとんどない。

それでも癒着剥離後に痛みが軽くなる例は少なくない。なぜだろうか?

子宮内膜症病変は、月に一度、月経のとき子宮内膜と同様に出血している。月に一度病巣部分を傷つけているようなものだ。もし、毎月一回、腕をカミソリか何かで切り続けたらどうだろうか?場所を変えるのではなく、同じところを。切っては血が出て、治り、治ったらまた切る・・・・これをくり返すと・・・・

瘢痕になってしまい、おそらく周囲の正常組織を引きつらせて治癒していくだろう。周囲の神経まで引きつらせてしまい、慢性的に痛くなるだろう。(子宮内膜症なら月経時以外も痛くなる)子宮内膜症ならその瘢痕の中に病巣があり月経時の痛みはいよいよ強くなる。

手術で癒着を剥離するということは、この引きつりを剥離によってリセットするようなものだ。つまり、癒着剥離をすることにより骨盤神経などの引きつりをとれて痛みが軽くなるのだろう。

癒着を剥離するだけである程度骨盤痛は楽にはなるようだ。しかしながら、それだけでは深部病変は残ったままだ。骨盤痛に対しては効果的ではあるが、あまり効果がない例も少なくない。一時的には良くなっても痛みが再発する例も少なくない。

なぜか?おそらく活動性の高い深部病変が残っているためだろう。深部病変を切除しなければ引きつりが解除されないことも多い。また、腹膜病変が十分に切除(もしは焼灼)できていないためかもしれない。どちらにしろ、子宮内膜症病変が残っているかぎり骨盤痛が残る可能性はある。
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