ラパロスコピストの夢

大阪梅田で子宮内膜症と闘うラパロスコピストのblog
子宮内膜症、子宮筋腫に対する腹腔鏡下手術はどこまで進歩できるか?

はじめにお読みください

健保連大阪中央病院に勤務するラパロスコピスト(腹腔鏡術者)のブログです。婦人科腹腔鏡下手術、子宮内膜症、慢性骨盤痛等の治療を専門としています。

このブログでは腹腔鏡下手術、子宮内膜症、子宮筋腫に関する基本的な事柄については解説していません。まず、下記のウェブサイトをご覧になることをお勧めします。
日本子宮内膜症協会
子宮筋腫・内膜症体験者の会 たんぽぽ

手術を希望される方はこちらをご覧ください。

医療相談、ご質問にはお答えしませんのでご了承ください。

おすすめの本はこちら?ブックス・ラパロスコピスト

“お疲れさまでした。” 2

2014-03-24 | 腹腔鏡

手術室では、術者が「お願いします。」の言葉で手術を始め、「ありがとうございました。」の言葉で終わります。助手は「ありがとうございました。」と言うこともありますし、「お疲れさまでした。」という人もいます。

ただの挨拶ですからイチイチ気にすることはないのですが、「お疲れさまでした。」にはやはり違和感があります。私が目上の者だから俺に対して「お疲れさまでした。」かよ、というわけではありません。

これらの言葉の意味を考えてみればわかります。

「お願いします。」には、表向きは「(業務として)これから手術を始めます。皆さん、ご協力お願いいたします。」という意味があるのでしょう。それだけではなく、「これから勉強させていただきます。よろしくお願いいたします。」という意味が隠れています。

同様に、「ありがとうございました。」にも、「無事、手術が終わりました。皆さん、ご協力ありがとうございました。」と「勉強になりました。ありがとうございました。」という2つの意味があります。(他にもあるかもしれません。)

私たち手術を生業にしているものは、「患者さんを手術で治してあげて」いるわけですが、常に「患者さんを手術することで勉強させていただいて」もいるわけです。(だからといって、「勉強してるんやろ、手術させてやるわ。」という態度の患者さんがいらっしゃった場合、丁重にお断りしたくなりますが。

では、考えてみましょう。

手術終了時に、術者もしくは他の人に対して、「ありがとうございました。」と言うと、「ご協力ありがとうございました。」と「勉強になりました。」と言っていることになります。とくに、手術を見学している立場であれば、(ご協力…はありませんから)「勉強になりました。勉強させていただきました。」と言っていることになります。

「お疲れさまでした。」は、どうでしょうか?これは、ねぎらいの言葉であり、決して「勉強になりました。」という意味にはなりません。むしろ、「ありがとうございました」が出てこないということは、「たいして勉強にはならなかった。」というメッセージを発していることになるかもしれません。しかも、気づかないうちに。

 

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“お疲れさまでした。”

2014-03-21 | 腹腔鏡

仕事が終わったとき「お疲れさまでした。」、また、他の職員とすれ違うときに「お疲れさまです。」という言葉が頻繁に使われます。しかしながら、私は、この言葉には違和感があります。

ビジネスの世界では、最近は、「ご苦労さま。」は目上から目下へのねぎらいの言葉、「お疲れさまです。」は上司にも使ってよいねぎらいの言葉とされているようです。

グラフ社のきれいな敬語 羞かしい敬語―美しい言葉の人になる7章(草柳大蔵著)の第三章では、下記のような記述があります。(以下、本文)

職場の上司が東京から大阪へ出張して、ややこしい問題を三日がかりで解決し、帰ってきた。社長に報告して職場に帰ってきたとき、いちばん先にその部長の顔を見た入社三年の社員が「部長、お疲れさまでした」と声をかけた。部長は「やあ」と曖昧な返事をしてデスクの方に歩いていったが、ふと、感情を少し損ねたときの表情が浮かんだ。昼食のとき、社員食堂の隅のテーブルに入社三年の社員が課長によばれた。

「注意じゃないんだよ、人間の礼儀として聞いてほしい。目上の人に“お疲れさまでした”は失礼に当たるんだ。」

三年君はびっくりした。いたわりのつもりで掛けた言葉だった。

「それでは“ご苦労さまでした”ならいいのでしょうか。私自身は古臭くて好きな言葉じゃありませんが」

「ご苦労さまもお疲れさまも上司には使わない方がよい。では、なんと言ったらよいか、君に宿題としてあげる」

課長は、それだけ言うと、ポンと肩を叩いて自分のランチを選ぶためにゆっくりと離れていった。

(中略)

「ご苦労さま」「お疲れさま」に代わる言葉を見つけるのがむずかしい。ずいぶんいろいろな人に聞いてみたが、徒労に終わった。文化庁の敬語集の執筆者は「ありがとうございました」「お世話になりました」というお礼の言葉が相手の労苦に対するねぎらいの意志を伝えられるのではないかと記述している。(本文、ここまで)

きれいな敬語 羞かしい敬語―美しい言葉の人になる7章

草柳大蔵著
グラフ社

本書では、「ねぎらう」という行動は本来、目上から目下に行なわれるものであり、言葉の意味からするかぎり言葉をいくら丁寧にしても無駄だということになると述べています。

確かに、これに代わる言葉を見つけるのは難しいのですが、私は「お疲れさまです。」「お疲れさまでした。」を使うのは、少なくともその本来の意味と使う時の状況を考えてからにしたほうがよいと思います。

しかし、私が「お疲れさま」が不適当だと思う理由は、これだけではありません。

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伊藤病院

2014-03-16 | 大阪日記

伊藤先生が、京都の伊藤病院を退職することとなり、分娩も休止することになったそうです。伊藤病院のホームページ上では、『伊藤院長の健康上の理由で』となっていましたが、彼は全く変わりなく元気そうで健康上の問題は今のところないようです。(現在は『一身上の理由で』となっている。)

 

売上至上主義に走る経営陣と対立して嫌になったのかもしれませんし、夜中に分娩に起こされるのが体力的にキツくなり燃え尽きてしまったのかもしれません。本当のところを私はよく知りませんが、気になる患者さんは受診してください。

 

今後は京都三条でクリニックをオープンして、婦人科診療は続けていかれるそうです。京都周辺で大阪中央病院に紹介してもらいたい人は是非受診していただけたらと思います。

コメント (1)
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