ラパロスコピストの夢

大阪梅田で子宮内膜症と闘うラパロスコピストのblog
子宮内膜症、子宮筋腫に対する腹腔鏡下手術はどこまで進歩できるか?

はじめにお読みください

健保連大阪中央病院に勤務するラパロスコピスト(腹腔鏡術者)のブログです。婦人科腹腔鏡下手術、子宮内膜症、慢性骨盤痛等の治療を専門としています。

このブログでは腹腔鏡下手術、子宮内膜症、子宮筋腫に関する基本的な事柄については解説していません。まず、下記のウェブサイトをご覧になることをお勧めします。
日本子宮内膜症協会
子宮筋腫・内膜症体験者の会 たんぽぽ

手術を希望される方はこちらをご覧ください。

医療相談、ご質問にはお答えしませんのでご了承ください。

おすすめの本はこちら?ブックス・ラパロスコピスト

子宮筋腫の診療ガイドライン その3

2008-12-31 | 子宮筋腫
2.In women who do not wish to preserve fertility and who have been counselled regarding the alternatives and risks, hysterectomy may be offered as the definitive treatment for symptomatic uterine fibroids and is associated with a high level of satisfaction.

3. Myomectomy is an option for women who wish to preserve their uterus, but women should be counselled regarding the risk of requiring further intervention.

通常、子宮筋腫の手術適応となるのは、筋腫が何らかの症状(不正出血や過多月経、月経痛、不妊、頻尿など)を引き起こしているときである。もしくは腫瘤が急速に増大しているときにも(肉腫を疑う場合)手術を考慮するべきであろう。

子宮を温存する必要がある場合には子宮筋腫核出術を行うが、普通、子宮全摘術よりも手術時間は長くなり出血は多くなる。また、術後癒着の影響も考慮するべきであろう。(筋腫核出後の子宮全摘術では、癒着で苦労することも少なくない。)筋腫をすべて取り除くことは不可能なので、術後再発の可能性も高く、再手術を必要とするケースも少なくない。子宮が温存できるからといって、ただ筋腫核出をすればいいというわけではない。手術の内容や目的、その時期までよく考えておく必要がある。

登山家はそこに山があるから登るのだろう。
しかし、普通の婦人科医は、ただ、そこに筋腫があるからといって切りにはいかない。
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20km歩いてみたら

2008-12-30 | 大阪日記
先日、20kmのノルディックウォーキングに挑戦してみた。一時間あたり約6kmのペースでスタート。かなり早足で歩いているが、ノルディックウォーキングの場合、体幹を大きく使うので脚よりも腰や背中、肩にくる。腰と背中の筋肉痛がキツくなってきたが、辛抱しながら、3時間20分。予定通りほぼ20km走破、じゃなくて歩ききった。体幹だけでいえばマラソンなみに効いたかもしれない。

はっきり言って、20km走るほうが楽だ。運動量にしてほぼ1200kcal、体幹を大きく使うので、内蔵脂肪がどんどん燃やされていきそうな気がする。術前の患者さんにはお勧めしたいが、20km歩く人はほとんどいないだろうなぁ・・・


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走らない人にはこれもいいかも?
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今年一年

2008-12-29 | 大阪日記
一昨日、今年最後のオペが終わった。一年間よく働いたものだ。

今年の漢字は「変」だった。良くも悪くも変化の多かった一年を象徴している。

私にとっての一年に漢字にあらわすと、

「被」

であったといえる。(被る=身に受ける)

周りからさまざまなことに巻き込まれ(迷惑を被る、被害などなど・・・)、ごめん被りたいことも少なくなかった。

しかし、恩恵を被るなどとも言うように、被という字は悪い意味ではない。
身体操作的には大きく進歩した一年だったと思う。どうすれば手術が上手くなるか、どうすれば走るのが速くなるか、なんとなくわかってきたような気がする。来年の私は、もっとすごいよ。(たぶん)

2009年の目標:がんばらない。5割の力で、10割のパフォーマンスを。
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子宮筋腫の診療ガイドライン その2

2008-12-16 | 子宮筋腫
カナダの子宮筋腫診療ガイドラインは14項目の勧告からなっている。その1番目をみてみる。

1. Medical management should be tailored to the needs of the woman presenting with uterine fibroids and geared to alleviating the symptoms. Cost and side effects of medical therapies may limit their long-term use.


ようするに「薬物療法は症状を緩和させるために行われる」ということである。子宮筋腫は良性とはいえ腫瘍なので、薬で治ることはない。

GnRHアゴニストは、術前投与として(筋腫を一時的に縮小させたり貧血を改善させる)おこなわれるか、もしくは40代後半以降の女性に閉経への逃げ込みを目的とおこなわれる。副作用や費用の点から、いたずらに長期間投与や頻回投与するのは避けるべきである。

低用量ピルは、子宮筋腫を増大させるというエビデンスはなく投与可能とされている。子宮腺筋症や子宮内膜症と子宮筋腫の合併例でも低用量ピルの使用を躊躇する必要はないようである。(日本産科婦人科学会の低用量経口避妊薬に関するガイドラインでも、投与OKとしているようである。)
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子宮筋腫の診療ガイドライン

2008-12-14 | 子宮筋腫
当院には子宮筋腫の患者が多数来院する。私の外来を受診する人の多くは、手術希望ということで受診するものの手術適応にはならないもののほうが多い。

子宮内膜症に関しては、日本産科婦人科学会による子宮内膜症取扱い規約やESHREによる子宮内膜症の診断・治療ガイドラインなどがあるが、子宮筋腫治療に関するガイドラインは日本にはない。

ところが、たんぽぽのホームページをみてみると、カナダの子宮筋腫診療ガイドライン(邦訳)が載せられていた。これは、2003年に作成されたものなので内容は決して新しいとはいえないが、最近の子宮筋腫の新しい治療としては集束超音波くらいしかないので、古くなってはいない。(腹腔鏡下筋腫融解術は日本では行われていない。)

一般の方にとっては、すこし難解な内容かもしれないが、治療方法の選択にあたっては十分参考になると思う。
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