ラパロスコピストの夢

大阪梅田で子宮内膜症と闘うラパロスコピストのblog
子宮内膜症、子宮筋腫に対する腹腔鏡下手術はどこまで進歩できるか?

はじめにお読みください

健保連大阪中央病院に勤務するラパロスコピスト(腹腔鏡術者)のブログです。婦人科腹腔鏡下手術、子宮内膜症、慢性骨盤痛等の治療を専門としています。

このブログでは腹腔鏡下手術、子宮内膜症、子宮筋腫に関する基本的な事柄については解説していません。まず、下記のウェブサイトをご覧になることをお勧めします。
日本子宮内膜症協会
子宮筋腫・内膜症体験者の会 たんぽぽ

手術を希望される方はこちらをご覧ください。

医療相談、ご質問にはお答えしませんのでご了承ください。

おすすめの本はこちら?ブックス・ラパロスコピスト

子宮内膜症はなぜ手遅れになるまで見つからないのか? その3

2012-08-30 | 子宮内膜症
2.婦人科受診の遅れ
古くから日本には忍耐を美徳と考える風土があったためか、日本人は痛みに我慢強い人種のようです。月経痛が非常に強くても、それを病的と考えない人も多いようです。 また、異常な痛みであったとしても、特有の羞恥心から婦人科に受診するのも遅れがちです。何年もの間、市販の鎮痛剤の内服だけで経過してしまえば、その間に何度も繰り返す月経のために子宮内膜症がどんどん悪化してしまうこともあります。
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子宮内膜症はなぜ手遅れになるまで見つからないのか? その2

2012-08-29 | 子宮内膜症
1. 女性を取り巻く社会情勢の変化
この数十年で女性のライフスタイルは大きく変化し、出産回数は激減し、出産年齢も高齢化しています。私が医師になったころは、30歳の初産婦は“高齢初産婦”と呼ばれていたのに、1993年以降は、それも35歳に変更され、今や35歳以上で妊娠する人は全然珍しくありません。仮に13歳で初めて月経があった女性が38歳で初めて出産するとすれば、その女性は出産までに約300回の月経を経験することになります。
月経周期の度に、女性は子宮内膜の増殖と剥離、排卵を伴う女性ホルモンの大きな変化を経験することになります。子宮内膜があるはずのない場所で、子宮内膜のような組織が勝手に発生して増殖するのが子宮内膜症です。月経周期を繰り返せば、子宮内膜症はどんどん増殖して悪化していくことが多くなります。
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子宮内膜症はなぜ手遅れになるまで見つからないのか? その1

2012-08-28 | 子宮内膜症
この文章は、院内報に投稿したものです。言いたい放題書いてみましたが、予想外に評判がよかったので、ご紹介します。

「子宮内膜症はなぜ手遅れになるまで見つからないのか?」という、かなり挑戦的な題名にしていますが、私自身は、大半の子宮内膜症は手遅れではないと思っています。しかしながら、子宮内膜症は、一般の方が思っているよりもはるかに妊孕能や骨盤痛などのQOL(Quality of Life)を損ない、非常に再発しやすい疾患であるのは事実です。子宮内膜症を手遅れにしないためには、患者さん自身が、この疾患に対して十分理解すること、治療に対する長期的な戦略を持つこと、そして、手術に対して勇気を持つことが必要なんだろうと思っています。

以下、本文

健保連大阪中央病院婦人科は、子宮筋腫や子宮内膜症などの婦人科良性疾患に対する腹腔鏡下手術を中心とする診療を行っています。私どものような子宮内膜症を専門とする施設には、かなり重症で進行した子宮内膜症の患者さんが多く来院されます。そのような患者さんの多くに共通するのは、月経痛や骨盤痛などの症状が現れてから産婦人科を受診するまで、また産婦人科を受診して子宮内膜症と診断されるまでに(もしくは適切に治療が開始されるまで)非常に長い時間が経過してしまっていることです。10年以上もの長い時間が経過していることも珍しくありません。
このように、進行した子宮内膜症が増えている原因には様々なものがあります。今回は、それらの原因について考えてみることにしましょう。
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