ラパロスコピストの夢

大阪梅田で子宮内膜症と闘うラパロスコピストのblog
子宮内膜症、子宮筋腫に対する腹腔鏡下手術はどこまで進歩できるか?

はじめにお読みください

健保連大阪中央病院に勤務するラパロスコピスト(腹腔鏡術者)のブログです。婦人科腹腔鏡下手術、子宮内膜症、慢性骨盤痛等の治療を専門としています。

このブログでは腹腔鏡下手術、子宮内膜症、子宮筋腫に関する基本的な事柄については解説していません。まず、下記のウェブサイトをご覧になることをお勧めします。
日本子宮内膜症協会
子宮筋腫・内膜症体験者の会 たんぽぽ

手術を希望される方はこちらをご覧ください。

医療相談、ご質問にはお答えしませんのでご了承ください。

おすすめの本はこちら?ブックス・ラパロスコピスト

子宮内膜症患者が腹腔鏡下手術を受ける価値があるのか?その5

2006-06-08 | 子宮内膜症
子宮内膜症の痛みのほとんどは以下のものが原因となる。
1.卵巣チョコレート嚢胞が周囲を圧迫したり、破裂したりして痛い。
2.癒着により周囲組織を引きつれさせて痛い。
3.子宮内膜症病変から出血したり発痛物質が出るために痛い。

個々の患者さんの痛みは、これらの要因が合わさって起こる。深部病変が痛みの主体となっているのなら深部病変に対する処置は必須となる。また、チョコレート嚢胞が痛みの原因なら、これを処置すれば痛みは良くなるはずだ。

普通、痛みはこの中のどれかだけが原因となることは少なく、これらが組み合わさっている。(もちろん、これ以外にもあるかもしれない)

チョコレート嚢胞、子宮内膜症(ときには子宮腺筋症)を完全に切除できれば言うことはない。しかし、重症例では限度がある。より完全を目指せば、リスクも高くなる。どこかで妥協せざるを得ない。

子宮内膜症は痛み、不妊、悪性化(とくに卵巣チョコレート嚢胞)などさまざまなトラブルを引き起こす。これらを解決するためには、そのための戦略が大切だ。やみくもにできることをするのではない。戦略に基づいて、問題解決を目指すのである。子宮内膜症は、患者によって所見は全く異なる。症状も全く異なる。手術もケースによって全く異なり、テーラーメイド手術と言える。
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大阪の不思議・・・USJ編

2006-06-06 | 大阪日記
USJのジュラシックパーク・ザ・ライドは約26mの高さから水上に滑り落ちるアトラクションだ。
その近くで古代人と係員が掛け合い漫才のようなアトラクションをしている。
なんだぁ、こりゃ?ここは吉本か??

なぜか、午後からハローキティー・バースデー・セレブレーション、
キティちゃんだらけのパレードだ。
なんで、ここでキティちゃんなの??
ユニバーサル・スタジオなのに・・・
いつからサンリオ・ピューロランドになったんだぁ?

なんか変なのが大阪らしくていいのかもしれない。
うーん、また行きたい。(苦笑)
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目指せ、全国制覇?

2006-06-01 | 大阪日記
病棟に県別に分かれた小さな日本地図が貼られている。

関西だけではなく遠方からの患者さんも来られるので、誰かが貼ったようだ。
すでに鳥取、島根、愛媛、東京、沖縄など多数の県が塗りつぶされている。
その県に在住の患者さんが入院されたら、塗っているらしい。

全国制覇を目指しているのだろうか?
さすがに東北とか九州からはなかなか来られないと思うが・・・
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子宮内膜症患者が腹腔鏡下手術を受ける価値があるのか?その4

2006-06-01 | 子宮内膜症
今回は子宮内膜症病変そのものが引き起こす痛みである。

この痛みは月経時に子宮内膜症病変からの出血のためにおこる。腹膜病変なら腹腔内に出血をおこし、深部病変であれば病巣内に出血をおこす。深部病変内の出血は組織の間に貯まり、まわりの組織を引き裂いてしまう。腹膜病変であれ深部病変であれ病変部からの出血は強い痛みを起こす原因となる。

これにより炎症がおこりマクロファージが出す化学物質により周囲組織が損傷される。また、深部病変ではとくにプロスタグランディンという化学物質が多く作られる。このプロスタグランディンは子宮や腸管の平滑筋を収縮させるはたらきを持っていて陣痛促進剤や腸閉塞の治療薬として使われる。

月経時には子宮内膜症や子宮腺筋症の病変部から産生されて子宮や腸管を強く収縮させる。それにより陣痛のように強い月経痛を引き起こしたり、下痢になったりする。

このように、子宮内膜症の痛みは
1. 卵巣チョコレート嚢胞が原因となる痛み
2. 癒着や引きつれによる痛み
3. 子宮内膜症病変そのものによる痛み
などが原因となる。

骨盤痛、月経痛を取り除くために手術をするのであれば、手術中の所見(もちろん術前の評価からも)から、この患者さんはなぜ痛いのかを考え、その原因を取り除く手術をしなければならない。

普通、開腹手術であれば、卵巣チョコレート嚢胞の切除やある程度の癒着剥離はどの施設でも行っている。また、腹腔鏡下手術でも行う術者も少なくはない。卵巣チョコレート嚢胞やちょっとした癒着が原因であれば運よく月経痛、骨盤痛は治るだろう。しかし、子宮内膜症の深部病変やかなりシビアな癒着や引きつれが原因になっているのであれば、手術したにもかかわらず痛みがあまり治らないというのは決して珍しいことではない。
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