ラパロスコピストの夢

大阪梅田で子宮内膜症と闘うラパロスコピストのblog
子宮内膜症、子宮筋腫に対する腹腔鏡下手術はどこまで進歩できるか?

はじめにお読みください

健保連大阪中央病院に勤務するラパロスコピスト(腹腔鏡術者)のブログです。婦人科腹腔鏡下手術、子宮内膜症、慢性骨盤痛等の治療を専門としています。

このブログでは腹腔鏡下手術、子宮内膜症、子宮筋腫に関する基本的な事柄については解説していません。まず、下記のウェブサイトをご覧になることをお勧めします。
日本子宮内膜症協会
子宮筋腫・内膜症体験者の会 たんぽぽ

手術を希望される方はこちらをご覧ください。

医療相談、ご質問にはお答えしませんのでご了承ください。

おすすめの本はこちら?ブックス・ラパロスコピスト

北海道子宮内膜症・腺筋症セミナー2023 その4

2023-11-05 | 大阪日記

 北海道子宮内膜症・腺筋症セミナー2023の講演内容
続きです。
なぜ、コミュニケーション(の型)で月経痛が発生してしまうのか?山口純子先生の理論を私なりに解説します。


・ここは私の独断と偏見です。山口純子先生によると生殖器は役割の象徴となる臓器だそうで、自分の役割を超えたところのことを考えると身体がアラートを出すらしいです。これは『おせっかい』ともいえるのですが、『お母さん体質』すなわち面倒見がいいとも言えると思っています。人類、とくにホモ・サピエンスは未熟な状態で生まれ自分のことが自分で出来るようになるまで数年はかかります。なので、我が子が小さいうち(6歳くらいまで)は、過剰なくらいの『おせっかい』が必要です。そうでないと子どもは生き延びることが出来ません。ですから、これは、人間としては好ましいことでもあるのではないかと思います。


・では、月経困難症やPMSにはどのように対処するのがよいのでしょうか?いろんな方法があります。
①LEP(いわゆる低用量ピル、現在は月経困難症に対しても保険適応となっている)、排卵を抑制し、ホルモンの状態としては妊娠に近い(偽妊娠療法)ですから、多少の『おせっかい』は身体がゆるしてくれそうです。

②ジエノゲスト1mg/日(0.5mg×2)は、2mg /日投与の場合とは違ってエストラジオールがあまり下がらないので、偽妊娠療法に少し近くなります。基本的には月経も消退出血もなくなるので、これもよいのではないかと思います。(副作用としては多少の不正出血はあるかも)

③コミュニケーションの面では、感情ことばが使えるようになる(意外と難しい)、そして感情ことばを使えるようになると次、相手が感情ことばを使えるように誘導すること、交換条件で合意することなどですが、これらは容易ではありません。

・では、もしこのような対策(コミュニケーション)で月経困難症が改善したときには、ホルモン療法は不要なのでしょうか?

機能性月経困難症のある女性は将来的に子宮内膜症を発症する可能性が高いと言われています。(すでにある程度の、すなわち診察や画像診断などでは診断できない腹膜病変が存在している可能性がある)つまり、この対策で仮に月経痛が改善したとしても、子宮内膜症の発症リスクが低くなるとは言えないので、痛みがなくなったとしても、子宮内膜症の進行予防を図るうえでLEPやジエノゲストを服用したほうがよいのではないかと思います。

この点については、まだ進行予防という点で医学的なエビデンスがあるとは言えません。でも、もし娘さんの月経痛がひどいのであれば、LEPやジエノゲストを勧めてあげてほしいですね。

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北海道子宮内膜症・腺筋症セミナー2023 その3

2023-11-04 | 大阪日記

 北海道子宮内膜症・腺筋症セミナー2023の講演内容 続きです。

・日本心身医学会で、山口純子先生と。『月経痛を解読する ー月経痛を発生させる共通のコミュニケーションの型』の共同演者として指導させていただきました。
このときの発表内容をご紹介しています。


・山口純子先生はカイロプラクターとして仕事をしておられますが、女性であることもあり、月経痛の相談を受けることが多いそうです。月経痛のある女性の多くは腰椎3番の歪みがあり、これは手技で矯正はできるそうですが、次にその患者さんが来院されたときには、また歪んでいて、月経痛もすぐに再発するそうです。


・月経痛のある患者さんには共通のコミュニケーションの型があり、ある時月経痛の患者さんで腰椎3番の歪みが治っていた人がいて、聞き出してみると自分でこの型を変えていたそうです。


・具体的には、上記スライドのような対策を取ればよいらしいです。アドラー心理学でいうところの課題の分離、そして感情の言語化(感情ことば)、合意の交換条件になります。これらは口でいうだけなら簡単ですが、やってみようとすると意外と難しいです。

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北海道子宮内膜症・腺筋症セミナー2023 その2

2023-11-04 | 大阪日記
北海道子宮内膜症・腺筋症セミナー2023 講演内容をご紹介します

・演題名は『子宮内膜症と手術とジエノゲスト』私小説風な演題名にしてみました。


・子宮内膜症とジエノゲストの話から、機能性月経困難症・心身の相関、手術室におけるチームビルディング、子宮内膜症の手術と次から次へと話題を振ってみました。薬物治療が普及してきて直腸や膀胱・尿管の手術は減少しているようです。


・2006年から現在までの尿路系子宮内膜症手術の推移
膀胱子宮内膜症は膀胱部分切除を行いますが、ジエノゲストで管理できる例が増えたため減少傾向にあります。それでも尿路系子宮内膜症については一定数の手術はあります。


・尿路系の子宮内膜症について実例をあげて解説、ジエノゲストは意外と強力です。


・深部子宮内膜症においてもジエノゲストは有用ですね。手術は難易度が高くなりますが、当院では全例腹腔鏡下で行っておりますので、難易度の高い症例が集まっています。



・近年の子宮内膜症治療は薬物治療をしながら、手術のタイミングを探っていくという型になっているように思います。

(つづく、次回は機能性月経困難症の話題)
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北海道子宮内膜症・腺筋症セミナー2023

2023-11-04 | 大阪日記
10/28 土曜日
4年ぶりに札幌で講演をさせていただきました。今回も持田製薬の研究会(北海道子宮内膜症・腺筋症セミナー2023)でしたので、少し忖度して、ジエノゲストや月経困難症のお話もしてみました。腹腔鏡の技術認定医の多くは手術としての対象として子宮内膜症を診ていると思いますが、心身医学的な側面も意外と重要です。今回は山口純子先生との共同研究も含めて講演させていただきました。明石先生の病院の手術室スタッフの方々にも好評だったようですが、手術の話を期待していた先生方には少し拍子抜けだったかもしれません。それについては来年1月の日本エンドメトリオーシス学会のランチョンでお話ししたいと思います。
 
子宮内膜症手術についても、月経困難症やPMSの話も、手術室でのコミュニケーションの話も、それぞれ各方面で展開していきますので、ご期待していただけたら嬉しいです。札幌白石産科婦人科病院の明石先生、杉尾先生、ありがとうございました。
 
・札幌白石産科婦人科病院の明石先生、杉尾先生と
 

・講演後のお食事会のお鮨 最高でした。札幌はもう紅葉でしたね。翌日は新千歳空港温泉で整ってから帰りました。
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