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子宮内膜症、子宮筋腫に対する腹腔鏡下手術はどこまで進歩できるか?

直腸子宮内膜症は切除する必要があるのか?その10

2006-05-15 | 子宮内膜症
かなり間があいてしまったが、低位前方切除の合併症を続ける。

★直腸腟瘻
直腸膣瘻は、直腸と膣の間に瘻孔ができてしまうものである。子宮癌における放射線治療後や子宮全摘術後にしばしば見られることがある。子宮内膜症手術では直腸膣中隔に病巣があるときにはリスクが高くなると思われる。

発症時期ははっきりいつ頃とは言えないのですが、どちらかといえば遅発性のものであり、術後2週間以降となることが多くなるようだ。

この合併症はAAGL2005の報告でDr. Perieraが述べたように病巣が低位にあればあるほどリスクが高くなる。また、2004年のAAGLでケンタッキーの医師が膣壁に浸潤するような深部子宮内膜症に低位前方切除と膣壁切除を3例にしたところ、直腸腟瘻が1例でみられたと報告していた。

病変がRs*, Ra*にあれば、このような合併症の発生は非常に少ないと思われる。一方、Rbに病変がある場合(つまり、肛門側に近いところまで浸潤した子宮内膜症)、直腸膣瘻発生のリスクが高くなってしまうので、術前に患者さんと十分ディスカッションする必要がある。

*)直腸の解剖学的分類 Rs, Ra, Rbについて
Rs = 岬角(第1仙椎上縁)から第2仙椎下縁まで
Ra = 第2仙椎下縁から腹膜翻転部まで
Rb = 腹膜翻転部よりも肛門側の直腸
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