キリスト者の慰め

無宗教主義の著者が、人生の苦しみに直面し、キリストによって慰めをえる記録

聖霊に関する考察

2007-05-27 19:55:54 | 聖書読解
もし私たちが御霊によって生きるのなら、
御霊に導かれて、進もうではありませんか。(ガラテヤ書5-25)



キリストは神の啓示であって、決して宗教ではない。

よってキリストを知るということは、神からの一方的な恩恵であって、

人間的努力やこの世的宗教活動の賜物ではない。

これ、キリスト者であれば、たいていの者は納得する事実である。

しかしキリスト者も、この世に現実的に生きる生身の人間であるから、

いかにしてキリスト者は生きるべきかという具体的問題に直面する。

聖書曰く、「聖霊に導かれ、聖霊に従い、聖霊に満たされて生きなさい」と。
(ガラテヤ書5-25、エペソ書5-18)

ならば、聖霊とは何であるかが、問題なのである。


聖霊(Holy Spirit)を考察する前に、我々は霊(Spirit)を考察する必要がある。

霊とは何であるか?

霊とは、現代日本人が想像するように、死んだ祖先の見えぬ姿のようなものか?

それとも、人間内部に存在する、人間の本質のようなものであるか?

もしくは、万象万物すべてに内在する、実相のようなものであるか?

否、否、否。

聖書は明らかに、かかるアニミズム的霊観、祖先崇拝的霊観に反対する。


霊とは、人が有するものではなく、神が有するものである。

人の内に霊はない、神が人に関与し給う時に、神は霊をもって人に臨み給う。

人の内に霊魂があるなどと称して、人の内に何か永遠性があると錯覚するは、

大なる霊に対する誤解である。

人は所詮、ちりの塊である。

人が人として生き得るのは、神が人に霊を与え給うからである。(創世記2-7)

キリスト者・非キリスト者を問わず、我々が今生きていられるのは、

神が霊を与え給うているからであって、我々自身の力によってではない。


霊は、我々を生かし、我々に力を与え給う。

霊は、士師に臨んで敵軍を蹴散らす力を与え(士師記)、

ソロモンに臨んで智慧を授け、預言者に臨んで未来を示し(ミカ書3-8)、

使徒に臨んで真理を理解せしめた(コリント書Ⅰ2-12)。

と同時に、人をして偽りを言わしめ(列王記Ⅰ22-21)、

人をして破壊欲を起こし(イザヤ書40-7)、人をして汚れさせ(ゼカリヤ書13-2)、

人をして奴隷にし(ローマ書8-15)、人をして異なるイエスを宣べさせる(コリント書Ⅱ11-4)。

ある意味でいえば、「霊とは何か?」という問う我々自身が、

すでに霊の感化によって、あるいは善きことを為し、あるいは悪しきことを為し、

霊の手の平の上で生きているといえよう。


ならば、聖霊とは何であるか?

聖(Holy)とは、最善の、最高の、特別の、という意味であって、

霊の中で一番のものである。

この言葉は旧約聖書には存在せず、イエス降臨後の新約聖書にだけ存在する。

だから旧約聖書的な霊のように、腕力や智慧となるような霊とはいえない。

聖霊とは、キリストの霊である。(ローマ書8-9、使徒行伝16-7、ピリピ書1-19)

神に対して従順であり(ローマ書8-15)、人に対して柔和であり(コリント書Ⅰ4-21)、

人をして犠牲の心を発せしめるものである(マタイ伝20-28)。



「父よ。彼らをお赦しください。彼らは、何をしているのか自分でわからないのです」
(ルカ伝23-34)



聖霊とは、十字架の上でかかるとりなしの言葉を発し給うた方の霊である。

一言でいえば、愛の霊である。

聖霊に導かれるということは、ある特殊な能力を発揮したり、

宗教的活動に邁進することではなく、人に優しく、人のために、人を益するために、

己を使役することである。

すなわち、きわめて倫理的な代物である。


聖霊とは、不可思議な力を有する感化力でも、人間に本来内在する底力でも、

ましてや天使や先祖でもない。

人を愛し生かし赦すイエス・キリストの霊である。

聖霊に導かれ、聖霊に従い、聖霊に満たされた生活とは、

神にかかる聖霊を頂くよう祈り、そして実際的に人を愛することである。

神はそういうキリスト者を助けるために、豊かに聖霊を下さるであろう。


「私は聖霊の感化に浴したことがありません・・・。」

そう心配する必要はない。

己が罪深きこと、キリストのみが救いであること、

キリストのみに栄光が帰せられねばならないことを知っている者は、
(ヨハネ伝16-8以下)

既に聖霊の圧倒的感化に浴しているのである。

これから為すべきことは、より聖霊を神に求め、

キリストの霊に恥じぬ善行を為すことである。



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