キリスト者の慰め

無宗教主義の著者が、人生の苦しみに直面し、キリストによって慰めをえる記録

イエスの断食

2011-05-29 18:25:57 | 聖書原典研究(共観福音書)
イエスは言われた。 「苦しみを受ける前に,あなた方と共にこの過越の食事をしたいと, わたしは切に願っていた。言っておくが,神の国で過越が成し遂げられるまで, わたしは決してこの過越の食事をとることはない」 (ルカ伝22-15・16/新共同訳) 「わたしは切に願っていた」と訳されている表現は, 欲求(επιθυμια)という語に不定詞(Φαγειν)が伴った表現で, ルカ文書においては,成 . . . 本文を読む

パウロの心の動き

2011-05-25 19:01:59 | 聖書原典研究(パウロ書簡)
神を愛する者たち,つまり,御計画に従って召された者たちには, 万事が益となるように共に働くということを,私たちは知っています。 (ローマ書8-28/新共同訳) 「万事が共に働く」とは,原語ではたった二語であって, 「パンタ スネルゲイ(παντα συνεργει)」である。 だがこの箇所には異読があって,一部の写本には後ろに「神は(ο θεοσ)」がつく。 新共同訳やネストレ27版は . . . 本文を読む

天使とは何か?

2011-05-15 18:09:00 | 聖書原典研究(共観福音書)
「私は神の御前に立つガブリエルです。 あなたに話をし,この喜びの訪れを伝えるように遣わされているのです」 (ルカ伝1-19) 聖書において,天使とは何なのだろうか? 「天使とは何か?」ということを考える際に,まずやってはいけないことは, 天使という語(αγγελοσ:アンゲロス)を調べて, その辞書的意味によって,天使というものを定義することである。 これは日本語でも同様のことが言え . . . 本文を読む

ゲッセマネの苦しみ

2011-05-08 19:38:51 | 聖書原典研究(共観福音書)
ルカ伝を読了する。 福音書記者ルカは,マルコ伝及び独自資料を用いつつ, 悔い改める大罪人としてのイエスの伝記を書いたということは, 前回の投稿記事において書いた。 特に「悪魔の試み」(4-1~4-13)と「ゲッセマネの祈り」(22-39~22-46)は, 特別に注意して読むべきだということを,ルカはその編集の痕跡によって示している。 マタイ伝に比べると悪魔の試みは,第二と第三の試みが . . . 本文を読む