それは神の約束が、イエス・キリストへの信仰によって、
信じる人々に与えられるようになるためでした。(ガラテヤ書3-22/新共同訳)
救われる条件である「イエス・キリストへの信仰」とは、
非常に誤解の多い表現である。
信仰と訳された単語「ピスティス(πιστιs)」とは、
様々な意味のある単語である。
まず第一に、ピスティスとは「真実」を意味する。
パウロ書簡の脈絡からすれば、真実と . . . 本文を読む
現に多くの神々、多くの主がいると思われているように、
たとえ天や地に神々と呼ばれるものがいても、
私たちにとっては、唯一の神、父である神がおられ、
万物はこの神から出、私たちはこの神へ帰って行くのです。
また、唯一の主、イエス・キリストがおられ、万物はこの主によって存在し、
私たちもこの主によって存在しているのです。(コリント書Ⅰ8-5・6/新共同訳)
古代ギリシャ語において、αναγκη( . . . 本文を読む
引き続き、ギリシャ文化とパウロ書簡との関係を調べている。
現段階でわかったことは、
「パウロの教会観」と「プラトンの理想国家論」との類似性である。
特に、パウロのローマ書12章以下とプラトンの主著「国家」には、
多くの共通点が認められる。
順をおって共通点をあげていくと、下記のようになる。
まず、一なる真理と多なる人間の関係(ενとπoλλα)の問題。
(ローマ書12-3~12-9/ . . . 本文を読む
2009年はパウロ・ヨハネ書簡の原典読解を進めてきたから、
2010年は共観福音書(マタイ・マルコ・ルカ)の研究を予定していた。
しかし、年末年始に再読していたギリシャ哲学(プラトン・アリストテレス)に、
パウロ書簡の言語使用との類似性がわかってから、
今はもっぱらギリシャ哲学の再読をしている。
アリストテレスの主著(「形而上学」や「政治学」)と
プラトンの前期・中期著作(「ソクラテス . . . 本文を読む