それゆえ,神に服従せよ,悪魔に逆らって立て。
(ヤコブ書4-7/私訳)
悪魔に服従することとは,何なのだろうか?
それは,自分の怒りによって,正義を成し遂げようとすることである(ヤコブ書1-20)。
まるで神がいないかのように,まるで自分は自分一人で存在しているかのように,
自らの境遇について不平をこぼすことである(ユダ書16)。
弱い者の側に立たないことである(ヤコブ書1-27) . . . 本文を読む
あなた方の集まりに,金の指輪をはめた立派な身なりの人が入って来,また,汚らしい服装の貧しい人も入って来るとします。
その立派な身なりの人に特別に目を留めて,「あなたはこちらの席にお掛け下さい」と言い,貧しい人には「あなたは,そこに立っているか,私の足元に座るかしていなさい」と言うなら,
あなた方は,自分たちの中で差別をし,誤った考えに基づいて判断を下したことになるのではありませんか。
(ヤコブ書2 . . . 本文を読む
マタイ伝を読了して、今はヤコブ書を研究しつつある。
ヤコブ書は通常、マタイ伝の「山上の垂訓」との類似性が注目されるが、
私は、マタイ伝とともにパウロ書簡、
とりわけ、ローマ書との類似性に注目せねばならないと思う。
パウロでしか用いない表現、ローマ書の著述の流れを意識した表現が、
ヤコブ書には多くあるのである。
ヤコブ書著者その人の解釈では、
パウロが言った「御霊の律法の . . . 本文を読む
御子はその体である教会の頭です。
御子は初めの者、死者の中から最初に生まれた方です。
こうして、すべてのことにおいて第一の者となられたのです。
神は、御心のままに、満ち溢れるものを余すところなく御子の内に宿らせ、
その十字架の血によって平和を打ち立て、地にあるものであれ、天にあるものであれ、
万物をただ御子によって、御自分と和解させられました。
(コロサイ書1-18・19)
体と訳されている . . . 本文を読む
牧会書簡の一つであるテトス書を読了する。
この著者、パウロの後継者と自称しているが、
パウロの福音の最大の敵である。
パウロがいうところの「神の恵み」を思想的に取り込み、
信者が信ずべき教義と化して、人間を人間の奴隷たらしめるために書かれたものである。
パウロは、「キリストを受け入れること」を勧めるが、
外面的事柄である敬虔さ(ευσεβεια)や品位(σεμνοτησ)を勧めること . . . 本文を読む
あなた方がキリストの愛の広さ、長さ、高さ、深さがどれほどであるかを理解し、
人の知識をはるかに超えるこの愛を知るようになるように。(エペソ書3-18・19)
日本語訳聖書において「キリストの愛」と訳されている部分は、
厳密には原典には存在しない。
存在しないというよりは、「人の知識をはるかに超えるキリストの愛」とは書いてあるが、
「広さ、長さ、高さ、深さ」が何のことを指しているのかは、 . . . 本文を読む
エペソ書・コロサイ書を読了する。
パウロの死後、数十年後、ここまで恐ろしくパウロの福音を理解し、
宣べ伝えようとした人間が存在したことに、改めて驚かざるを得ない。
パウロ在世当時においても、パウロはこの世の宗教と戦った。
それは律法という形で、割礼という形で、パウロが戦わねばならなかったものである。
(ガラテヤ書)
かかるパウロの対宗教戦争はパウロの死後も継続し、
今度はこの世の儀式と . . . 本文を読む
体は一つ、霊は一つです。
それは、あなた方が、一つの希望にあずかるように招かれているのと同じです。
主は一人、信仰は一つ、洗礼は一つ、すべてのものの父である神は唯一であって、
すべてのものの上にあり、すべてのものを通して働き、すべてのものの内におられます。
(エペソ書4-4~6/新共同訳)
聖書は神の言葉だからといって、まるで現実から宙に浮いた言葉のように読んではならない。
聖書も人間が書 . . . 本文を読む
また、わたしが適切な言葉を用いて話し、
福音の神秘を大胆に示すことができるように、
わたしのために祈ってください。
わたしはこの福音の使徒として鎖につながれていますが、
それでも、語るべきことは大胆に話せるように、祈ってください。
(エペソ書6-19・20/新共同訳)
「適切な言葉を用いて話し」と訳された部分は、全くの創作文章である。
原文は「私の口が開く時に言葉が与えられ」である。
す . . . 本文を読む
平和の絆で結ばれて、霊による一致を保つように努めなさい(エペソ書4-3/新共同訳)。
「絆」と訳された単語スンデスモー(συνδεσμω)とは、
縄目や足枷を意味する単語である。
「一致する」と訳された単語エノテータ(ενοτητα)とは、
人間が意識的に合同することではなく、「一つである現実」を意味する。
「保つ」と訳された単語テーレイン(τηρειν)とは、
「保つ」とも「守る . . . 本文を読む