英語道(トラスト英語学院のブログ)

長野県伊那市の英語塾「トラスト英語学院」の塾長ブログです(^^)/
〒396-0023 長野県伊那市山寺305-16

「総合的な学習」は弊害か?

2019年01月17日 | 指導現場にて
先月11日にNHK・BSで放送された「アナザーストーリーズ 運命の分岐点『ゆとり教育~戦後最大の教育改革~』」をビデオで観ました。

ゆとり教育についての功罪がまとめられている分かりやすい番組でしたが、何より、私の母校であり、我が子たちも通っている伊那小学校が特集されていました。

何かと批判の対象となるゆとり教育ですが、ポイントをまとめると次のようになります。

・2002年4月~2011年3月の9年間に実施
・完全学校週五日制
・指導内容の3割カット
・総合的な学習の時間を取り入れる

このポイントの一つ、総合的な学習で教師たちは悩み、その一助として、1977年から現在に至るまで一貫して総合学習を行っている伊那小学校が、番組で特集されていました。

総合学習以外で伊那小学校の特徴をまとめると、以下のようになります。

・チャイムがない
・決まった時間割がない
・通知表がない

これは私の通っていた1980年代から現在に至るまで受け継がれています。そして、各クラスごと生徒たち自身が話し合って、総合学習として何をやるか決めています。私の時はチャボやリスやウサギを飼ったり、稲を育てたりしていました。長男(現中3)は凧作り、次男(現小3)はヒツジを育てています。




この様な体験の中で総合・複合的に教科の内容を学びますが、私の頃は教科書はほとんど使った記憶がありませんが、現在は使っています。

日々自然と触れ合うことが多くなるので、学校に通うのは楽しくなりますが、弊害としてやはり学力の低下が挙げられるでしょう。私も中学に進学したばかりの時、徳川家康が何をした人が分かりませんでしたし、一日中椅子に座って授業を受けるということが苦痛でした。しかし、全員の学力が低下するかというとそうではなく、地元の進学校に合格し、名だたる難関大学に合格している人は当然のように多々います。

私の総合学習を含めた小学校教育に関する私見は、4年前の記事でも記しましたが、次のようになります。

・小学校は勉強だけをするところではない。
・健全な友達関係を構築し、基本的社会ルールを学ぶ。
・総合学習や各種行事を通して自主性と協調性を育む。
・基礎学力は家庭学習の習慣化で培うもの。
・毎日通うことが楽しければそれでよい。

だからこそ、いじめのような陰険な事象は即座に排除されて当たり前なのです。

私自身が感じた中学からの勉強の不安は、小学生のうちの家庭学習で習慣化すれば、和らげられます。私も小学生の時は家で毎日、物凄い分量のドリルをやらされてましたから、それが勉強に向かう癖をつけてくれたのは間違いありません。結局、学校でどんな授業が提供されてようとも、勉学に向かう学習習慣は幼少期からの家庭環境で形成されるというのが、教育現場にいて気付く最たるものです。

「ゆとり教育」「総合的な学習」は一つの切り口であって全てではありません。同時通訳の神様と言われる國弘正雄さんの『國弘流 英語の話しかた』には、こんなことが書かれています。
「彼ら(=英語ができる人)には、英語なんて自分で努力するもの、という心意気があるのです。そういう人は、中学・高校でどんな教師に教わろうが、どんな教え方をされようが、結局自分で道を開いていきます。」(339ページ)
この言葉は英語に限ったことではありません。勉強ができる人はどんな環境であれ、そこから自分で道を作っていくのです。

それにしても、次男も通う私の母校でもある小学校が、BSとはいえ取材されて全国放送され、次男も二度画面に登場していたにもかかわらず、学校からは何の連絡もない。それこそが、ゆとり教育の弊害ではないでしょうか(笑)。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする