某高校1年で使われている『INSPIRE ENGLISH GRAMMAR 48units WORKBOOK』(文英堂)の分詞の単元に、以下の青山学院大学の問題がありました。
all the family in Hawaii, the house seems very empty.
(1) For (2) Because (3) Since (4) With
正解は、(4) With です。
本問の場合、付帯状況の with と解釈し、「家族全員がハワイにいるので、その家はまさしく空っぽのようだ。」の意になります。
with は他の前置詞と違い、後ろに O + C の型を取ることができ、with + O + C で、「OがCしながら、OがCなので」などと訳します。この場合のwith を付帯状況といいます。
・With prices so high, we'll have to cut down our living expenses.
・With the exams coming next week, we must study hard.
付帯状況の with は、マスターしてしまうと使い勝手がよく、斬れる英文が書けるようになります。
ある生徒から 「in Hawaii は前置詞句だから、修飾語句(M)とみなされて、文の要素にはならないのでは?」という鋭い質問がでました。
「この前置詞句は形容詞と同じ働きをしている形容詞句とも見なせるから、補語ととらえることも可能だぞ」と、私は回答しました。
さて、この時、私の中で (2) Because や (3) Since でも文法的には正しいのではないかという、新たな疑問がわいてきました。
Because all the family are in Hawaii, the house seems very empty.
を分詞構文にすると、
All the family being in Hawaii, the house seems very empty.
となります。従属節と主節の主語が違う“独立分詞構文”になります。
分詞構文中の being は省略されるのが普通であり、なおかつ分詞構文で消えてしまった接続詞の意味を明確にするため、その接続詞を残しておくことも可能です。よって、(2) because の他に、理由を表す接続詞 (3) Since も正解になりうるのではないか。
うーん、これは困った。久しぶりの難問です。
帰宅後、早速、江川泰一郎著『
英文法解説』(金子書房)を貪り読みました。すると、346ページの解説に、以下のような筆者の言葉がありました。
「解釈上 being を補えるからといって、いちいち being を補って考えるのは好ましくない。好ましくないどころか、文法意識過剰による邪道と言えよう。」
確かに、分詞構文は文語的な表現であるため、日常的な英文にはむやみに使うべきではないということはわかっています。
しかし、文法理論で追究していくと、解釈が可能なことは確かに出てきます。深入りせず、サラッと考える方がいいのかも知れませんが、「邪道」の一言で済まされないような気もするのです。
今回の分詞構文の解釈など、言語学的にはとても興味深いものがあります。
昨日のエントリじゃないですが、ロト6が当たったら、すぐにでも留学して、生成英文法などの言語学を修めたいところです。
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