ここではないどこかへ -Anywhere But Here-

音楽・本・映画・サッカーなど興味の趣くままに書いていきます。

2/3のランニング

2006-02-03 23:38:20 | ジョギング
今朝から息子も加わって3人で走ることになった。
息子は来月所属するサッカー・スクールのセレクションを初めて受験することになり、そのための特訓である。

なのに、その初日から自分のほうがつまずいた。アキレス腱を痛めてしまった。
子どもたちに遅れてゴール。2キロしか走れなかった。
とりあえずアイシングしたけど、またしばらく動かせないのかなあ・・・。

今日の距離:3キロ
体重:62.0kg 体脂肪:16.5%

花まんま/朱川湊人

2006-02-03 23:27:57 | 
晴れ。

先日発表された134回直木賞は東野圭吾氏の「容疑者Xの献身」に決まった。
まだ読んでいないが、何度もノミネートされながらようやくといった感じか。
ここのところの直木賞は私と同世代か少し上の世代の実力を持った書き手が受賞している。
前回の受賞作「花まんま」の著者朱川湊人氏もそんな一人である。

久しぶりに短編集での受賞作品だが、収められている作品は共通の設定を持っている。
まず、大人になった主人公が子どものときに体験した不思議な出来事を回想するという設定。
次に高度成長期、日本人が決して裕福ではなかったころの大阪の下町が舞台になっているということ。
そしていずれも死にまつわる話ということである。

私が子どものころはいわゆる高度成長の末期であった。
そのころの日本にはまだ裕福と貧困がまだら模様にあったような気がする。
毎月の給食費が払えない子がいる一方で、お誕生会に何人もの友達を招待する子もいた。
やがてオセロを返すようにまだら模様は均質化していき、今では働いていなくてもなんとなく生きていけるほどに、
日本は豊かな国になった。

この短編集はそんな貧しさがまだそこかしこに残る大阪の下町で、日々を生きることにいっぱいいっぱいだった人たちが邂逅した奇跡を描いている。
大阪を物心ついてから初めて訪れたのは、学生のころでそのころにはもう東京に住んでいた。
その当時でも東京に比べると大阪は緑が少なくどことなくくすんだ街だった。
灰色の文化住宅がひしめきあって立ち並ぶ光景にある種の息苦しささえ感じた。

そんな大阪の下町で肩を寄せ合って生きる市井の人々が織り成す濃密で冷淡な日常に、隣り合うように横たわる死の匂い。
どの作品も生きることの不可思議を思い起こさせてくれる、これは死者のファンタジーである。