ここではないどこかへ -Anywhere But Here-

音楽・本・映画・サッカーなど興味の趣くままに書いていきます。

トワイライト/重松清

2006-01-12 22:53:59 | 
晴れ。

切なかった。なんだかとても。

小学校6年生の時の学年は先生たちの結束の固いすばらしい学年だった。当時のことは今でもよく覚えている。
先生の熱のこもった授業や次々に企画される行事の数々、生き生きとした教室とクラスの仲間たち。
そのときのクラスの有志が今年の夏卒業以来の大々的な同窓会をするべくホームページまで立ち上げた。
東京に住んでいる私がその時期に九州に帰れるかどうかは分からないけれど。
私の6年生。あの一年間は今思い返しても鼻腔の奥がつんとなるような一年だったと思う。

偶然同窓会の話などを聞いたということもあるけれども、
そんな時に読み始めたこの本は、同じく小学校6年生時代の同窓会を今の私と同じ39歳の同級生たちが開くところからスタートする。
重松清は私より4歳年長で、この本を書いた時がちょうど今の私と同じ歳、だから登場人物たちと同じ39歳であった。
大阪万博の記憶はちょっと遠いけれども、仮面ライダーもドラえもんも体験してきた、ほぼ同世代である。
同世代作家の書いた同世代の登場人物たちの小説を同世代の自分が読む。
同じ歳だから分かる。生きてきた時間が、持っている過去の長さが同じだから分かる切なさがある。

振り返る時間が長くなればなるほど人は哀しくなるのだと判った。
あの頃思い描いていた地平とは違うところに立っている。遠いあの頃がこんなにも切なくなる歳廻りになってきたのかなあ。

この本を今読んだのは本当に良かったと思う。
10年前に読んでも10年後に読んでもきっとこの切なさは分からなかったであろうから。