ここではないどこかへ -Anywhere But Here-

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高校サッカー決勝

2006-01-10 15:32:46 | サッカー
晴れ。
昨日、高校サッカー選手権大会の決勝を見に国立競技場に出かけた。
二連覇を目指す鹿児島実業と初の決勝進出のフレッシュな滋賀県代表の野洲高校。
九州人の私としては、応援するのは当然鹿児島実業。
滋賀県の彦根城といえば江戸幕府の大老井伊直弼の居城。「薩摩対幕府の戦かあ」、と無理やりこじつけたりしながらキックオフを待つ。

序盤は鹿児島実業が主導権を握り何度か決定的な場面を作ってシュートを放つ。
しかし前半の23分過ぎにセットプレーから野洲に先制されると、流れは次第に野洲のほうに傾いていった。
野洲は中盤でボールを奪うと右に展開しサイドから崩すパターンで何度か鹿実のゴール前に迫るが前半はそのまま終了した。

後半も一進一退ながらゲームを優勢に進めたのは野洲。特にMFの14番乾君のスペースでボールをもらう動きがすばらしい。
野洲の選手の流れるようなパス交換が鹿実のディフェンスを混乱させる。
しかし、時間が経つにつれて野洲の動きに慣れてきた鹿実が少しずつ流れを押し返していく。
何度も決定的なチャンスをつくり、得点は時間の問題と思われた30分過ぎ、ようやく試合を振り出しに戻すゴールが生まれた。鹿実ベンチは狂喜乱舞。
こういう展開になるとこのまま鹿実が押し切ってしまうのではないかと思ったが、後半も終了。延長戦へと突入した。

サッカーというのはそのときの流れというか雰囲気で展開が変わっていくデリケートなスポーツだが、
延長に入ったことで野洲は気分的にニュートラルになったような気がする。
一方で鹿実はこの大会で初めて失点した。
つまり、初めて試合を通して一度もリードすることなく延長を迎えたことで、「何とかしなければ」という焦りが生じていたようにも感じる。勝者ゆえのメンタリティの綾か。
そして、ボールを持ったときの野洲の選手たちの豊富なアイデアは新鮮だった。
延長後半の6分、流れるようなカウンターから実にきれいに鹿実ディフェンスを崩して得点したことで、勝負はほぼ決した。
このときも乾選手の鮮やかなヒールパスが決まった。
残りの時間鹿実はキーパーまで前線に上げて必死の猛攻を仕掛けたがゴールを割れずタイムアップ。
その瞬間鹿実の選手たちはいっせいにピッチに倒れこんだ。

まったく個性の違うチームのぶつかり合いは非常に面白いサッカーになった。鹿実には残念な結果に終わったがこれを糧にまた来年がんばって欲しい。
そして、野洲のような個性をもったチームが優勝するというのは、とてもいいことだと思う。なんだか新しい時代が始まったような気がする。
多くのサッカー少年たちにも野洲のプレーを是非見習って欲しいと思う。

しかし、あの「振り向くなよ、振り向くなよ~」というのはもういいかげんいいんじゃないか。
あれを聞くとこの大会を冬の甲子園にしたいテレビ局の意図が感じられてどうにもげんなりする。
鹿実の応援も甲子園の常連ということもあって、応援が野球のまんま。
鹿児島にはJリーグのチームがないからまあ仕方がないけど、スタンドにももう少しサッカーらしさが欲しいなあ、とは思った。