江戸観光案内

古地図を片手に江戸の痕跡を見つけてみませんか?

浅草橋

2014-08-16 | まち歩き

浅草橋は神田川に架かる橋です。隅田川から数えて二つ目の橋で、周囲には多くの屋形船屋が在ります。上流下流に屋形船が舫ってある様は、都会の真ん中にありながら、その喧騒を忘れてしまいそうな、何となく感じの良い場所です。


現在の橋は昭和五年(1930年)に架けられた鋼アーチ橋ですが、明治時代には石橋でした。この石橋を架けたのは、熊本県の通潤橋を造った肥後の石工・橋本勘五郎で、その頃に石橋で建造された万世橋や江戸橋もこの人の手によるものです。現在は、残念ながら、いずれの石橋も残っていませんが、もしも現代にそのいずれか一つでも残っていたならば、通潤橋をツールに持つ美しい橋として、東京を代表する橋になっていたのではないかと想像します。


さらに時代を遡った江戸の頃には、浅草橋の南詰には浅草御門が在りました。江戸城の外堀の役目を果たす神田川に設けられた門の一つで、その名の通り浅草に通じています。ただし、ここから浅草までは、まだ2キロメートルほど離れており、距離も名前から想像する周辺のイメージもだいぶ浅草からは離れています。明治時代の石橋は、この門の見附(見張り所)を解体した際に出た石材を利用して架けられたものです。


時代小説の中の浅草橋はと言えば、周辺に船宿も多く、作品に彩りを添える風景としては申し分無いのですが、登場人物がここを通り過ぎる際には、「浅草橋を渡る」のではなく、「浅草御門をくぐる」と記されることの方が多く、それゆえ、時代小説への登場回数はそう多くはありません。数少ないところとしては、藤沢周平著「囮」(暗殺の年輪に収録、文藝春秋)、池波正太郎著「五年目の客」(鬼平犯科帳(四)に収録、文藝春秋)、池波正太郎著「剣客商売(十五)、二十番斬り」(新潮社)等が在ります。


浅草橋 東京都台東区浅草橋一丁目

JR・都営地下鉄浅草橋駅から160m 徒歩約2分


Dscn8726


最新の画像もっと見る

コメントを投稿