橋本治とナンシー関のいない世界で

「上野駅から夜汽車に乗って」改題
とうとう橋本治までなくなってしまった。
平成終わりの年にさらに改題してリスタート。

洗濯機の寿命と娯楽としての手洗いのススメ

2011-06-19 23:43:59 | 出島DEJIMAプロジェクト

去年の秋に始めた「火鉢クラブ」http://hibachiclub.blogspot.com/ では、炭火に限らず、いろんな楽しい暮らしの提案をしていくつもりですが、まさに今日、自分の生活の中で、お、これ意外にイイかもって思う事があったので、お伝えします。


「手洗い洗濯」です。


まずそもそもは、うちの洗濯機が壊れかけていることが事の発端。20年近く使っている洗濯機なのですが、とうとうその寿命を迎えようとしているのか、今朝はどうしても動かなかったのです。いつもは、いろんなボタンを闇雲に押していると動き出したりするのですが、今朝はピクリ、くらいで止まってしまう。ただ、完全に動かなくなったわけではないようで、また気まぐれに動き出すかもしれない気配でした。


この洗濯機、もう1年くらいずっと調子が悪いのです。

全自動なんかとっくのとうにできなくて、洗濯、すすぎ、脱水その都度止まっては、スイッチを入れ直しに行っていました。最近では、年老いた人のように、陽気のいい時には動くけれど、寒さで縮こまる日には、ボタンを押してもピクリともしないいう日が続いていました。それでも、適当にいろんなボタンを無造作に押していたりすると、突然動き出して洗濯を全うする事ができました。全自動洗濯機のくせに、2層式なんかよりもずーっと、洗濯機の側にいる時間が長

いという、不思議な1層式でした。


持ち主が買い替えを考え始めるとパソコンが自ら壊れてしまう事がよくあるといいますが、洗濯機も歳を取るほど人間のような動きをするのかなあとしみじみ今日の調子はどうだろうか。ちょっと寒いけど今日は動いてくれるだろうか。気温や湿度を気にしながら、ふつうなら買い替えるであろうめちゃめちゃ調子の悪い洗濯機を使い続けてきたわけです。普段動かない分動いた時は嬉しいし、すごく年寄なのに今日はがんばってるわと思ったりして、どうも買い替える気になれませんでしたこのところの経済状態では買い替えるのもままならないというのもあっ

のですが・・・。


にしても、新しい洗濯機も買わない、今の洗濯機も動かない。

ではどうするか。


コインランドリーに行ってみたら、なんと今日に限っていっぱいでした。

それではたと思いついたのが「手洗い」です。


「そーだ、手洗いしよう!」


時間がかかるとはいっても、コインランドリーを行き来する時間を考えたら、かかる時間は実質は変わらないはず。それに、手洗いって、結構運動になるのではないだろうか。そう思ったのでした。


考えてみれば、常々私は、家事を楽にして時間を作って、その時間でスポーツジムに行ったりする事にやや違和感を感じていました。いろんな家電製品のおかげで家事は随分楽になったけれど、そのせいで脳みそしか動かさないという人が増えた。そして、それでは身体がなまると、現代人はせっせとスポーツジムの動く道路で走っているのです。そんなこと言ってる私も、一時期スポーツジムに通ったことがあります。しかし、走っても走っても変わらない都会の夜景を見下ろしながら、風も感じず、動く歩道の上を走る自分にはなにか違和感がありました。かつては体育館や運動場で土ぼこりや汗にまみれてやっていた運動を、ジャグジー付きのサロンみたいなところでやるってことに対し、セレブでもないのになにか勘違いをしてない?似合ってないよという言葉が脳裏をよぎりました。しかしいちばんの違和感は、忙しい忙しいといいながら、家事という運動を家電というロボットにまかせてジムに通うという本末転ではなかったかと思います(ただ、プールで泳ぐのはちょっと別物かなと思います)。

もちろん、身体が動かなくなってきたら、電化製品に頼らねばならないし、家事家電が無くていいと言うわけではありません。それに、若い人にも「使うな」というわけじゃない。私だって使ってますし。家電を使う事で得ているもの、また失っているものは何かということを、ちょっと意識してみてもいいんじゃないだろうかと思ったのでした。


まあ、そんなこんなで、この際、汗かきながら洗濯やってみるのもよかろうと思ったわけなのです。実際には、ふと「やってみよう!」と思っただけで、その一瞬の脳の動きを、後から説明すれば、以上のようになるというだけのことです。長々すいません。


というわけで、早速手洗いしてみようということにしたのですが、といっても、うちには洗面器しかありません。やはり、本格的に手洗いするとなるとたらいが必要です。そこで、早速その足で、近所の荒物屋にたらいを買いに行きました。こういうときに、歩いて行ける範囲に荒物屋なるクラシックなものがあるこの谷根千地域の環境に感謝です。


せっかくだから、気分を出そうと思って、トタンの金だらいを購入。ドリフのコントで上から落ちてきていたアレです。ただ、あまり大きいと置く場所もないので、やや小さめ。それと、洗濯板も買いました。なんだかんだいってまだ売ってはいるのです。子どもの靴下の泥汚れなどを落とすため、小さい洗濯板を買ってく人が時々いるんだとか。私が嫁入りする時はこの金だらいと洗濯板を持ってきたもんよと言ってた店のおばちゃんは、今年78歳だそうです(70そこそこにしか見えないのですが)。


ところで、この金だらい、直径48cmの大きさで2800円でした。

ちなみに洗濯板は1800円

高いと思うか安いと思うかは人によって違うんでしょうが、同じくらいの大きさのよくあるブルーのポリのたらいが1200円。洗濯に使うってことだけ考えると倍以上する金だらいは高い気もしますが、このビジュアルだと、夏、氷水を貼ってスイカやキュウリを浮かべたりしてもイケル感じ。今後の火鉢クラブの活動を考えたら、断然金だらいの方が用途が多く、お得であるに違いない(実際のイベントのときにはちゃんと新しいヤツ使いますよ!)。

というわけで、ポリではなくトタンの金だらいにしました。



ちなみに、この金だらいを作っている会社。写真のたらいの真ん中に「DOIAEN」と書いてあるのですが、多分これ「土井亜鉛」で、「土井金属化成株式会社」http://www.d-k-k.jp/index.htmlというところのもののようです。とあるサイトの情報だと日本で唯一残る金だらいメーカーということですが、ググるとほかにも金だらいを作っている会社はあるようです。しかし、写真を見ると、金だらいでも素材が違っているようで、こういうドリフのコントに出てきたようなトタンの金だらいを作っている会社はここだけってことなのでしょうか?要リサーチですわ。



ということで、風呂場で洗濯開始。

石鹸はカネヨの純石鹸分98%の洗濯石けんで環境にもgood。1個120円


たまっていた靴下15足ほか、綿シャツ5枚、パーカーなど洗いましたです。斜めに置いた洗濯板は思いのほか使い勝手がいい。左手でつかんで右手でごしごしってやっていましたが、運動の意味も考えて、左手でもごしごしやってみました。なんだか腕の運動になってる気がする~。


実は、私は昔から腕力と握力が弱いのです。学生時代スポーツは得意な方で、体力測定の数値もほとんどの項目で平均を上回っていました。しかし、なぜかボール投げが苦手で、握力にいたっては平均25~26くらいのところ、私は20いかなかったんじゃないかと記憶しています。崖から落ちそうになっても枝にもつかまれない、サバイバル能力が低い身体なんだという認識がどっかでずーっとありました。


それが、洗いからすすぎを経て、靴下3本を一度にぐっと絞ったとき、握力が鍛えれるのを実感!これは、一石二鳥。なんだか、二の腕にも力がかかっているし、思ったよりいい運動です。これはまじに、手洗い続けたら、握力が強くなってくかもと思いました。また、お湯を使ってるから、ホットヨガをやっるみたいで、結構汗も出ます。お風呂に入ったとき一緒に洗ってしまえば、汗もいっしょに流せます。


運動になるだけじゃありません。洗濯物をバシャバシャすすいで、水がだんだん濁って、水を変え、次第に澄んで行く。桶に手を突っ込んで、どういう風に洗濯物を揺すれば、もっとも泡が早く落ちて行くか、小刻みに手の平を動かしてみたり、洗濯物をつかみ洗いしてみたり。いつもは洗濯機が勝手にやってる事を、自分の目で見て手を使って、より効率的にやろうとするのは結構楽しい体験でした。


ただ、ちょっと大きなものは絞るのが大変。特にパイル地のパーカーみたいなものは水をよく含むので、スゴく重くて脱水機が欲しくなります。まあ、洗濯機が復帰したら、脱水だけは脱水機でやってもいいかもな。


 一張羅のシャツも手洗いしました。ドライマークがついてるのもあったけど、自己責任ざんすw


こういう綿シャツは手で絞るとシワシワになりますし、もしかしたら、

絞らずに水浸しで吊るしとくという手もあったかもしれません。


 手洗いマークをまさに手洗い!なんて思ったけど、最近の手洗いマークは洗濯機の手洗いコースを

想定してるんでしょうか?本当の手洗いは、結構摩擦もスゴいと思うからな・・・。



あんまり、手洗いだけにこだわる事も無く、ゆる~く手洗いを楽しむ感じが長続きの秘訣かなとも思います。まあ、私はしばらく洗濯機を買わないと思うので、洗濯機の機嫌が直って動き出したら、脱水は洗濯機でやろうかなと思いますが、大抵のお宅の洗濯機は元気でしょうから、この手洗い洗濯、気分転換として、たまにやってみるってのはどうでしょう。「娯楽としての手洗い洗濯」でしょうか。庭があるお宅やベランダが広いお宅なら、天気がいい日は、庭にたらいを出してバシャバシャやるともっと気持ちいいと思います。


固形石鹸で洗うと泡切れもよく、水もそんなに使いませんし、節電にもなります。いろんな意味で一石二鳥だとも思います。


せっかく私たち人類が開発した文明の利器。まったく否定する必要はないと思います。実際、洗濯機というのは、お母さんの腰痛も減らしただろうし、腰の曲がったおじいちゃんおばあちゃんでも使えるし、かなり優れものだと思います。


その機械達に自分の仕事を肩代わりしてもらった代わりに、私たちは何を得ているのか、その得たものは価値あるものなのか、はたまた何を失っているのかを意識しながら、機械を使おうよってことだと洗濯しながら思いました。


たまの手洗い、水遊びでもあり、洗い上がるという達成感もあって、結構おすすめです。