ごろりんブログ

雫石鉄也のブログ

黒い十人の女

2021年09月06日 | 映画みたで

監督 市川崑
出演 船越英二、山本富士子、岸恵子、宮城まり子、岸田今日子

 女護が島の番頭になったよう。ある種の男の理想的境遇だろう。大勢の美女に囲まれて暮らす。ワシはそんなん、暑苦しくてごめんこうむりだが、期せずしてそないな境遇になってしまう男が、この映画の主人公。
 風松吉には本妻も入れて10人の女がいる。妻と愛人9人というわけ。この10人、それぞれの存在も松吉の行状も知っている。その愛人9人、妻双葉が経営する店に集まる相談がまとまる。なにを相談して、店でなにをするか。
 この女10人、双葉をリーダーに不思議な結束力を持っている。共通認識は松吉さんも困った人だ。松吉さんをどうしよう。だれいうともなく「殺しちゃうか」ということになったわけ。
 山本、岸、宮城の3女優の演技合戦となって、たいへんに面白い。日本の美人の代名詞のようにいわれていた山本富士子。きれいなだけではなくたいへんに上手い女優ということがよくわかった。
 松吉役の船越はまさに適役。人当たりは柔らかくだれにも親切。それが特に女性に特に親切。松吉は意図的になんぱしようよしているのではないだろう。自然と接触した女性とくっついてしまうのだろう。彼は女難の男ともいえる。