『磐城誌料歳時民俗記』の世界

明治時代の中頃に書かれた『磐城誌料歳時民俗記』。そこには江戸と明治のいわきの人々の暮らしぶりがつぶさに描かれています。

磐城平城下の馬市 その3

2007年04月21日 | 歴史
江戸時代に磐城平城下で開かれていた馬市について、
大須賀筠軒(おおすがいんけん 1841年~1912年)は、
『磐城誌料歳時民俗記』(明治25年(1892)序文執筆)の中に、
次のようにも書き記している。

暑天ニハ馬ニ負セタル物ヲ賣終レバ、
鞍ヲ卸シ、松原廣小路ニ幾ラモ放シ置、
馬奴ハ市用ヲ辨シ、或ハ茶店ニ休息ス。
馬ハ馬奴ノ来ル迄、草ヲ食ヒ、自由ニ起臥シ、友馬ト齧蹄スル事ナシ。
偶、物ニ驚キ、驅出ス事アリ。
馬奴来リテ馬見ヘザレバ、鞍ヲ脊負、彼此尋テ牽帰ル。
常ノ事トシテ驚キ騒ガズ。

これを現代的な表現に改めると、次のようになるかと思う。

暑い盛り、馬に背負わせてきた荷を売りさばき終わると、
馬奴は馬の鞍を外し、松原広小路に馬を放す。
馬奴はその後、市で買い物をしたり、茶店で休息したりする。
その間、馬は草を食べ、寝たり、起きたりとのんびりと過ごす。
馬同士が喧嘩をしたりすることはなく、たまに馬が何かに驚き、
駆け出すことがあるくらいだ。
馬奴が馬を放した場所に戻って来て、
馬が見つからない時には、鞍を肩に掛け、
馬の行方を捜し、牽き帰る。
馬の所在がわからなくなることはよくあることで、
決して騒ぎ立てたりはしない。

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