Ambivalent Blog

e-Tetsuによる「アート」と「釣り」の生活誌

「イノベーションへの解」とSOA

2004-07-19 | ◆ビジネス
クリステンセンの「イノベーションへの解」をやや遅れて読み始めた。目次をめくっていたら「第5章 事業範囲を適切に定める」の中に、「インターフェース」やら「モジュール化」という言葉が出てきて、SOA(サービス指向アーキテクチャー)に繋がるものを感じて、そこから読んでしまった。

ということで、そのことについて、忘れないうちにメモ書きを。
クリステンセンが言わんとするのは、

・「十分でない」世界 (=機能や信頼性がまだ顧客を満足させ
 るに不十分な世界)では、相互依存型アーキテクチャーを
 採用せよ。

・「性能過剰な」世界(=性能が顧客の要望を上回る世界)で
 は、モジュール型アーキテクチャーを採用せよ。

ということに要約され、「製品アーキテクチャーを競争状況に適合させる企業が、成功する可能性が最も高い。」と述べている。つまりは、PCの世界に見られるように、部品の性能が向上してコモディティ化が進むと、モジュール型のアーキテクチャーにした方が強いということである。

この議論をSOAに当てはめると面白い。SOAはアプリケーションのモジュール化を推進し、それによって企業のIT投資効率やアジリティを高めようとするものだ。しかし、テクノロジーの観点からむやみとSOAを促進しようとする今の風潮は、必ずしも正しくない。クリステンセンの言うように、対象としている業務エリアが「十分でない世界」に属するのか、「性能過剰な世界」に属するのかを見極めた上で、SOAという設計思想を持ち込む必要がある。さもなくば、ITが企業の競争力を削いでしまうことにもなり兼ねない。

サグラダ・ファミリア完成は2022年

2004-07-19 | ◆読んでみた
7月18日の日経、「美の美」セクション、「ガウディ かたちの迷宮」。

この記事によると、スペインはバルセロナの建築家、アントニ・ガウディが設計を手掛けた教会、サグラダ・ファミリアが2022年にも完成予定だという。着工から既に120年、完成まだあと100年、200年とも言われていた。しかし、観光収入の増加が完成までの期間をぐっと短くしたようだ。

もともとサグラダ・ファミリアは、寄付のみによってその資金が賄われた。ガウディ本人も自ら寄付を求めて家々を回り、その道すがら交通事故で死んでいる。それが今や工事費用の95%が観光収入で賄われるようになっているそうだ。

単に観光として見てみたいという人も多いだろうが、その入場料が未完の大作の工事費用に使われていると思えば、サグラダ・ファミリア完成に寄与したことになる。完成させたいという思いの集約が1つの事業を突き動かす。ビジネスもこういうものでありたい。

ちなみに、同記事の主題は、実はサグラダ・ファミリアではなく、ニューヨークのグラウンド・ゼロでの跡地計画であった。そこに、ガウディがかつて設計した「アメリカン・ホテル」を建設する構想があったという。5大陸をテーマとして、各大陸を象徴するものや建築様式をふんだんに盛り込んだ、高さ310メートルに及び巨大な鐘楼である。ニューヨークに実にふさわしいだけに実現しないのは残念。