関西電力は16日、大飯原発1号機(福井県おおい町、出力117万5千キロワット)で、緊急炉心冷却装置系統の蓄圧タンクで圧力が低下するトラブルが発生したため原子炉を手動停止させた。国の最終検査を終えずに4カ月を超える異例の調整運転を続けていた。関電は、営業運転に向けた国の最終検査の申請を当面見合わせる。トラブルによる環境への影響はないという。
関電によると、15日午後10時45分ごろ、蓄圧タンク内の窒素の圧力が通常時の4・60メガパスカルから国が関電に認可した制限値(4・04メガパスカル)を下回り、警報器が作動した。通常は緊急時に原子炉へ冷却水を注入するため高圧が保たれている。
タンクに窒素を補給し、約1時間後に圧力は制限値を上回ったが、関電はタンク上部にある圧力調整用の安全弁が何らかの原因で動いたとみて、調査のため原子炉を停止させた。
1号機は大震災直前の3月10日に定期検査の最終段階である調整運転に向けて原子炉を起動。通常は営業運転と同じフル出力で送電しながら1カ月ほど稼働し、営業運転の見極めとなる総合負荷性能検査を受けるが、震災の影響で検査への手続きが進んでいなかった。定期検査中ながら実質的に稼働していたため、原子力安全委員会から問題視する声が出ていた。
1号機は、原発の安全性を評価するストレステスト(耐性評価)で停止中の原発を対象とした1次評価を受ける見通しで、停止の長期化は避けられない。福井県は「福島第1原発事故を踏まえた新たな基準で、安全性が確認されなければならない」との姿勢を崩しておらず、再起動は厳しくなった。
これで全国で稼働している原発は18基となる。関電は福井県内に原発11基があるが、既に定期点検で4基が停止している。大飯1号機の停止に続き、21日は高浜原発4号機(同県高浜町)、22日は大飯4号機も定期検査で停止する。
関電の原発だけで計7基が停止する異例の事態となる。関電の供給力は最大需要予測を下回り、これまでは節電効果で乗り切れるとしていたが、さらに逼迫(ひっぱく)する。
(中日新聞)
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