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衆院区割り

2011-03-03 09:32:09 | 日記

愛媛新聞

衆院区割り 小手先の見直しはもう限界だ

 衆院小選挙区の区割り見直しの議論が始まった。2010年国勢調査速報値の公表を受け、内閣府にある衆院選挙区画定審議会が手がける10年に1度の改定作業だ。おおむね公表から1年以内に首相へ改定案が勧告される。

 人口の都市部偏重に歯止めがかからない。1票の格差は10年前の改定以前の水準まで拡大してしまったようだ。
 総務省の試算では、300小選挙区のうち現行法が許容する人口格差2倍を超す選挙区は97に上り、最も多い千葉4区と最も少ない高知3区の間で2・524倍に達する。今の基準にあてはめると、7都府県で「4増4減」の議員定数見直しが必要になる。

 当然、1票の格差の放置は看過できない。投票価値の平等に反するばかりでなく、近年は地方に手厚い定数配分が世襲議員を生む元凶のように語られてもいる。国民の代表のあり方を問い直す機運は高まっているといえよう。
 09年衆院選をめぐる1票の格差訴訟では、高裁段階から違憲または違憲状態の指摘が相次いだ。最高裁も近く判決を出す。司法から制度の根源的な問題点があぶり出される以上、定数配分の方法から考え直す必要がある。

 政府は、区割り見直しの議論に首相の衆院解散権が影響されることはないとの見解だが、規定違反の現状のまま国民に信を問う形になれば、政権の正統性にも傷がつく。せめて機械的な見直しの頻度を5年に1度にするくらいの改善を試みていいはずだ。
 ただ、選挙区画定審議会は現行制度の枠組みで思考せざるをえない。この10年で市町村合併が進んだことも線引き作業を難しくしている。選挙区が分断された市区町は90を超す。もはや局地的に帳尻合わせする小手先の見直しには限界があるということだ。

 抜本的な選挙制度の改正は政治家自身が責任を負う。各都道府県にあらかじめ1議席を配分しておく「1人別枠方式」の廃止を含め、行政区にとらわれない選出方法を模索すべき時機にきている。
 昨年の参院選でも司法は厳しい判断を示している。似たような選挙制度で衆院と参院を構成することが、果たして適当なのか。衆院で人口比を着実に反映する一方、参院では比例代表中心で地域色を補完するなど、工夫の余地はいくらでもあろう。

 菅直人首相は議員定数削減の提案を6月までにする方針だが、政権浮揚の思惑が先んじては政局を先鋭化させるだけだ。地方選出議員を減らすのであれば、地域の自治拡大が伴わなくてはなるまい。
 国会議員は特定の地域や利益の代表ではなく、全国民の代表である。政治のあるべき姿を正視する論議を、国民の側からも興したい。


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