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リビア空爆:指揮権巡り不和…米欧で思惑ずれ NATO

2011-03-22 21:50:22 | 日記

 【ブリュッセル福島良典、ワシントン草野和彦】リビア攻撃を続ける多国籍軍の指揮権を巡り、北大西洋条約機構(NATO)加盟国間で不協和音が起きている。米国は指揮権を早期に欧州側に渡したい考えだが、軍事介入に反対のトルコはNATO任務とすることに反対だ。一方、米国への対抗意識からフランスには欧州が主導権を握りたい思惑があり、各国間の駆け引きが熱を帯びている。

 オバマ米大統領は21日、リビア攻撃について、防空網破壊などの初期攻撃から、飛行禁止空域の設定・運用を目的とする次の段階へ「数日のうちに」移行すると述べた。これに伴い指揮権を米軍から、英仏軍かNATOに移したい考えだ。

 ホワイトハウスによると「次の段階」での米軍の主な役割は、リビア政府軍の通信手段の妨害や情報活動、多国籍軍への給油など「支援的役割」という。

 大統領はイラク戦争などを念頭に、「結果として米軍がすべての負担を担った」と言及。既に世界各地に展開する米軍や、米国の納税者の負担を軽減するためにも、今回は「国際的な任務」とすることが大事という率直な見解を示した。

 対リビア軍事行動には米英仏に加え、カナダ、ベルギー、イタリアなどNATOの一部加盟国が参加している。だが、NATOは20、21の両日、ブリュッセルで開いた加盟28カ国の大使会合で「NATOの役回り」について合意できなかった。NATO内部が(1)軍事行動に異を唱える反戦陣営(2)NATO主導を嫌うフランス(3)NATOへの指揮権移行を望む親米派--に分裂しているためだ。

 反戦陣営の筆頭はイスラム国のトルコだ。エルドアン首相は「NATOの軍事介入は危険な結果をもたらす」と地域の不安定化を警告しており、欧米の参戦国に対して即時休戦や民間人犠牲の回避を求めているという。

 対リビア空爆で戦端を開いたフランスは「アラブ連盟は作戦がNATOの完全な指揮下に入るのを望んでいない」(ジュペ外相)と指摘、NATOの役割を作戦立案などに限定したい。アフガニスタン戦争でアラブ世界に反感の強いNATOとして行動することへの抵抗と、「アフリカは欧州の担当地域」との対米意識がある。

 これに対して英国は「米軍指揮権のNATO移行」(キャメロン首相)を望む。NATOは90年代前半のボスニア・ヘルツェゴビナ紛争で飛行禁止空域の監視に空軍力を提供したことからリビアでも適任との判断だ。NATOにはユーゴスラビアやアフガンでの実戦経験があり、指揮命令の能力と仕組みを備えている。

 指揮権を巡る混乱は作戦に影響を与えている。F16戦闘機6機を発進させたノルウェーは21日、指揮権問題が解決するまで作戦参加を凍結すると発表した。イタリアもNATOが主導権を握らなければ基地使用許可を取り消す場合もあると警告している。アラブ諸国への配慮からゲーツ米国防長官は「NATO任務とはせずにNATOの指揮命令系統を使う方法」を提案する。


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